1997 Fiscal Year Annual Research Report
打撃音のデジタル信号処理による木材の内部診断装置の開発
Project/Area Number |
09760165
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Research Institution | Akita Prefectural College of Agriculture |
Principal Investigator |
川井 安生 秋田県立農業短期大学, 附属木材高度加工研究所, 助手 (80279512)
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Keywords | 劣化診断 / 生物劣化 / デジタル信号処理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、木造建築物の劣化を初期の段階で発見することである。その手段として、打撃音のスペクトル解析により、劣化の特徴を抽出・強調し、人間によって最終的な判断をすることを考えている。本年度は、接合材の木材腐朽菌による生物劣化の実験をおこない、データの収集および解析につとめた。 試料にはT字型の接合材を用いた。接合材に使用した材の長さはそれぞれ40cmである。接合の種類には、ほぞ、ほぞ+釘および金物を使った接合の3種類である。接合の種類が劣化診断に影響をおよぼす可能性を考慮し、一般的に使われている3種類の接合を用いることにした。 生物劣化の手段して2種頬の褐色腐朽菌を用いた。ナミダタケ(Serpula lacrymaus)とオオウズラタケ(Tyromyces palustris)の2種類である。ナミダタケとオオウズラタケは、生長する適温が20℃および30℃であり、実際に木造住宅に被害をあたえている菌である。これらの腐朽菌の特徴は、木材中のリグニンの分解力は小さいが、セルロースおよびヘミセルロースの分解力が大きいことである。そのため腐朽の重量減少が数パーセントでも強度の低下が数+パーセントにおよぶことが知られている。 現在、恒温恒湿室内で腐朽菌による接合材の劣化が進行中である。定期的に接合材の打撃音を収集し、解析をおこなっている。打撃には加速度センサつきのハンマーを用い、打撃音は接合部をとおって加速度センサで収集される。収集したデータの伝達時間、減衰量、スペクトルについて現在解析中であり劣化の診断に有用な情報を検討している。 来年度には、上記解析結果を生かして人間への打撃音の提示実験をおこない、劣化診断装置を試作する予定である。
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