1997 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体をトレーサーとしたヒラメ変態期の生体物質・エネルギー代謝
Project/Area Number |
09760174
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 茂 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50270898)
|
Keywords | ヒラメ / 変態 / 安定同位体 / 代謝 |
Research Abstract |
1 ヒラメの生体物質の代謝 ^<15>Nと^<13>Cをトレーサーとしてヒラメの生体物質(蛋白質および脂肪)の代謝を明らかにする実験を行った。トレーサーのヒラメへの取り込みは、無機態の^<15>Nと^<13>Cを植物プランクトン、Nannochlor opsis oculateに取り込ませた後、この植物プランクトンを餌として飼育したワムシ、Brachionus plicatilisおよびアルテミア、Artemia salinaの幼生をヒラメに給餌することにより可能であることが明らかとなった。また、メタノール・クロロホルム混液による抽出・分離によりヒラメを蛋白質、脂質および低分子各分に分けることが可能であり、それぞれの各分のトレーサー比を測定することにより、生体物質の代謝が明らかにできることがわかった。実験は仔魚、変態および稚魚期についてそれぞれ16、18および20度で行っており、同時に測定した成長量の違いを生体物質の代謝の違いにより説明し、ステージ特有の代謝を明らかにすることを最終目的としている。現在、安定同位体比の測定が終了し、データの解析を行っているところである。 2 ヒラメのエネルギー代謝 ヒラメ仔稚魚の酸素消費量とアンモニア排泄量を給餌および無給餌条件で日令を追って測定した。アンモニア排泄量と酸素消費量の比であるN/O比から、飢餓条件下で代謝基質に脂肪を使うことのできる飢餓耐性能は変態後約一週間で獲得されることが明らかとなった。 また、給餌条件を変えた稚魚のN/O比の変化から、飢餓耐性が獲得される時期は魚の大きさではなくそれまでの栄養状態に大きく影響され、稚魚期であっても同化エネルギーを飢餓耐性より成長のために優先的に使うことが明らかとなった。
|