1997 Fiscal Year Annual Research Report
赤色酵母とアスタキサンチンが魚類に示すマルチ生物活性の発現機構について
Project/Area Number |
09760188
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 俊樹 東北大学, 農学部, 助手 (10217797)
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Keywords | 赤色酵母 / Phaffia rhodozyma / アスタキサンチン / 魚類 |
Research Abstract |
【1】ニジマス赤血球に与える種々の酸化ストレスと細胞障害評価法の検討:ニジマスから採血後、赤血球packed cellを調整した。過酸化水素、フェオフォルバイト、2, 2'-アゾビス(2-アミノプロパン)塩酸塩(AAPH)およびtert-ブチルヒドロペルオキシド(TBH)を酸化ストレス(活性酸素発生)源とした。その結果、酸化ストレス源としては過酸化水素およびフェオフォルバイトが定量的であった。これら物質は、反応液中においてヒドロキシラジカルおよび一重項酸素を各々発生していると思われる。本実験系で、血球の溶血率とTBARS含量の間に相関関係が認められた。細胞障害すなわち生体膜の脆弱化の評価法としては、溶血試験が簡便性および迅速性で優れていることが明らかとなった。【2】合成アスタキサンチン添加法の検討:生理食塩水に懸濁した赤血球溶液に低濃度のジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したアスタキサンチン溶液を添加し20℃で6時間培養する事により細胞にアスタキサンチンを取り込ませ、アスタキサンチン添加赤血球の作製に成功した。また、同様の方法で赤色酵母抽出液(アセトン可溶性画分)およびα-トコフェロールを取り込ませることも可能であった。 【3】赤血球に及ぼす合成アスタキサンチン、赤色酵母抽出液およびα-トコフェロールの添加効果:アスタキサンチン、赤色酵母抽出液およびα-トコフェロールの取り込みにより、溶血およびTBARSの生成が抑制された。すなわち、α-トコフェロール同様、アスタキサンチンおよび赤色酵母抽出液は、生体膜の酸化安定性に寄与し、酸化的ストレスに対する感受性を低下させる効果のあることが示唆された。 【4】以上のように魚類に対するアスタキサンチンおよび赤色酵母が有する生物活性の一端を細胞レベルで明らかにしたのは本研究が初めてであると思われる。
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