1997 Fiscal Year Annual Research Report
高温環境に生息するラン藻が産生する蛋白分解阻害剤の構造と阻害機構
Project/Area Number |
09760189
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
沖野 龍文 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (30280910)
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Keywords | ラン藻 / シアノバクテリア / 酵素阻害 / 温泉 / 蛋白分解 / プロテアーゼ / トロンビン / 高温環境 |
Research Abstract |
温泉などの高温環境に生息するラン藻をターゲットに、蛋白分解阻害剤の開発を目的に本研究を行った。 まず第1に、高熱環境に生息するラン藻からのスクリーニングシステムの確立を図った。栃木県内の温泉より採取したラン藻を、研究室で予備培養後、単一な藻種として約100株を単離した。現在順次、数リットル規模の培養を行い、培養藻体からの抽出液のおよび培養ろ液からスクリーニング用試料を調製している。また、パパイン、トリプシン、キモトリプシン、トロンビン、エラスターゼなどに加え、ロイシンアミノペプチダーゼ、アミノペプチダーゼM,プロリルエンドペプチダーゼなどの酵素阻害活性測定系を確立し、スクリーニング用試料について、阻害活性を測定した。その結果、パパイン、プロリルエンドペプチダーゼには多くの株が阻害活性を示し、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、トロンビン、ロイシンアミノペプチダーゼについては、それぞれ数株が阻害活性を示した。 次に、トロンビンに対し阻害活性を示した3株について大量培養を開始した。そのうちの1株については、増殖時における活性物質産生能の変化を調べたが、大きな差はなく、藻体量が最大に達したときに、収穫するのがよいことがわかった。また、その活性物質は、脂溶性の低極性画分に存在していると考えられ、現在精製中である。 今後、精製をさらに進め、活性物質の構造解析を行うとともに、他の株についても検討する予定である。
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[Publications] M.Murakami: "Microviridins,elastase inhibitors from the cyanobacterium Nostoc minutum(NIES-26)" Phytochemistry. 45(6). 1197-1202 (1997)
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[Publications] 沖野龍文: "ラン藻が産生する生物活性物質" 化学と生物. 35(8). 556-563 (1997)