1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09760192
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
嶋倉 邦嘉 東京水産大学, 水産学部, 助手 (10226201)
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Keywords | 食物アレルギー / アレルゲン / 魚アレルギー / パルプアルブミン / 新規アレルゲン / 低アレルゲン化 / メバチ |
Research Abstract |
1. メバチなどの抽出液中にパルブアルブミン(PA)とは異なる新規アレルゲンの存在を確認した。このアレルゲンは,本研究室にプールされた日本人の魚アレルギー患者5名中3名もの血中IgEに対して反応陽性であったことから,日本の患者に対して特有なものではなく,かなりの数の患者のIgEが反応する可能性が考えられた。 2. 新規アレルゲンの精製,同定を試みたが,従来の手技に従った各種クロマトグラフィーの組み合わせのみでは精製が非常に困難であることがわかった。クロマトグラフィーのステップを変更しても,精製の途中で新規アレルゲンは再現性なく複数のピークに分かれてしまうことから,透析,凍結乾燥などの操作も含め,操作中に何らかの変性を受けるものと判断された。なお,SDS-PAGEによる推定分子量は100k以上であった。 3. 市販の魚肉練り製品(かまぼこ,はんぺんなど)のアレルゲン性をELISAで検討した。その結果,冷凍すり身が主原料である加工品に対し,反応陰性と陽性の血清とに二分された。製造工程のうちの水晒しのモデル系でPAの減少を確認した。よってPAのみに反応するIgE保有患者にとって,これらの加工品は低アレルゲン化が実現されていることを明らかにした。一方,新規アレルゲンは水晒し工程では除去できず,陽性血清はすべてこれに対する血中IgE保有者のものであった。また,冷凍すり身未使用のものではPAの残存する製品も見い出され,練り製品が魚アレルギー患者に対して必ずしも安全というわけではないことをin vitroで証明した。 4. 新規アレルゲンの精製方法をさらに検討している。これまでの種々の検討から,本新規アレルゲンは筋肉構成タンパク質である可能性も考えられ,既報の筋原線維タンパク質の精製方法も応用して,アレルゲンの精製,同定に努めている。
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