1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性リンパ腫細胞の増殖を抑制するGymnodiniumA3の硫酸多糖
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09760193
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松田 政広 香川大学, 農学部, 助手 (50253258)
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Keywords | 硫酸ガラクタン / 乳酸 / Gymnodinium属 / 抗ガン作用 / アポトーシス |
Research Abstract |
微細藻GymnodiniumA3をESM培地、21.5℃、3,500lux、約2カ月間培養すると培養液は粘稠性を帯び、EtOH及びCTAB沈澱によって酸性多糖を得た。更にDEAE-セルロースイオン交換クロマトによって得られた1.0M-NaCl多糖画分の構造は-4)-β-D-Galp(1-のガラクタンのC-2に硫酸基がエステル結合し、C-3に乳酸基がエーテル結合している乳酸含有硫酸ガラクタンと解析された。 本多糖はヒト悪性リンパ腫細胞系のMT-4、CEM、Molt-4、U-937細胞に対してそれぞれ、CC_<50>=2.7、5.0、13.7、17.3μg/mlの濃度で強い細胞毒性が認められた。 この多糖は定常期の細胞(MRC-5、MDCK、Vero、MKN-28)に対して200μg/mlでも細胞毒性が認められないが、MKN-28の増殖期には細胞毒性が認められた(CC_<50>=32μg/ml)。これらのことより、本多糖は細胞殺傷効果よりも細胞増殖抑制効果を有しているものと考えられる。 多糖体は高分子物であるため、細胞内に侵入し、遺伝子の転写抑制や細胞基質の崩壊などのネクローシスを引き起こすのではなく、細胞表面の部位に結合し、そこから細胞内の核に増殖抑制の指令を与えるアポトーシスを誘導しているものと考えた。 ヒト悪性リンパ腫細胞の一種であるK-562細胞は、本多糖を添加することによって以下のアポトーシス特有の傾向を示した。1)フローサイトメトリーで細胞粒子の縮小したDNAフラグメントの検出、2)May-Giemsa染色による光学顕微鏡観察で細胞小胞体の観察、3)In situキッドでDNAフラグメントの末端ラベルの核酸への取り込み、4)アガロース電気泳動でDNAの断片化によるラダーバンドの確認が認められた。 又、MT-4細胞においても同様の結果が得られたことからも、本多糖はヒト悪性リンパ腫細胞系に対してアポトーシスを誘導していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Sogawa, E.Kodama, M.Matsuda, S.Shigeta, and K.Okutani: "Marine microalgal polysaccharide induces apotosis in human lymphoid cells." Journal of Marine Biotechnology. 6. 35-38 (1998)