1997 Fiscal Year Annual Research Report
農業技術開発における公的研究機関の役割と新技術普及に関する実証的研究
Project/Area Number |
09760199
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 巧 北海道大学, 農学部, 助手 (40178413)
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Keywords | 農業技術 / 技術進歩 / 試験研究 / 農業機械 |
Research Abstract |
農業技術開発の中でも北海道の畑作の農業機械開発を対象とした。機械化や農作業支援などの省力化により、従来よりも集約的で高収益な野菜栽培が可能となり、農業所得が向上されると期待され、省力技術の開発のインセンティブが高いと考えたからである。菜葉類では、キャベツの収穫期の開発が昭和40年代から試験研究機関で行われ、機械収穫の可能性が立証された。根菜類についてはディガ(堀取機)が中心であったが、今日ではバレイショ、サツマイモ、ニンジン、ゴボウ用の高能率な機械開発に着手されてきている。北海道では、野菜生産の労働負担を軽減するために地域レベルで農業機械の開発がなされていた。主に、農業試験場と農機具メーカー、それに農業団体が共同で収穫機の開発を行っていた。北海道畑作においても機械化は進展し、路地野菜専業農家一戸当たりの年間労働時間は1980年代は2000時間だったのが90年代には600時間にまで減少した。この農作業機械開発のプロセスで明らかになったことは以下のとおりである。1)野菜収穫の機械化の成否は地域の自然条件、特に傾斜などの圃場条件によって大きく左右される。したがって、農業技術開発もその地域の環境条件にマッチしたものを開発する必要がある。このため農協などの農家の現場に近い農家支援組織が技術開発に関与せざるをえない。2)機械が高価であるため稼働率が低ければ農家は過剰投資に陥る。機械技術を普及には、稼働率を向上させるための利用形態のあり方の改善や、経営規模拡大が必要である。3)野菜は品目数が多く、それぞれの特性に合わせた収穫機を開発しなければならず、開発にコストがかかる。せっかく開発しても1品目の野菜の栽培面積は稲作の作付面積に比較して格段に少なく、研究開発の資金を回収できるかどうかが開発者の問題としてあげられる。
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