1997 Fiscal Year Annual Research Report
農村空間の保全管理における受委託システムに関する基礎的研究
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09760200
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
淡路 和則 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (90201904)
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Keywords | 農村空間 / 保全業務 / 作業受委託 / コムナ-ルアルバイト / マシ-ネンリング |
Research Abstract |
近年、農村がもつ保養空間、景観保護空間、自然保護空間などといった多面的な機能が評価されるようになり、農村を公共的な空間として捉え、適切な維持管理をする必要性が増してきた。将来的に農業生産所得の伸びが期待できない状況において、農村保全に関する業務を農家が請け負うことは、所得拡大の機会として注目される。また財政が逼迫する自治体にとっても、関係業務の農家委託は経済的なメリットがあるといえる。 この農村空間の保全管理に関する業務に関して、北海道十勝の自治体でヒアリングをしたところ、現時点では農家への業務委託の具体化は検討されていない状況にあることが把握できた。そこに存在する問題点として、(1)業務を民間委託する際の手続き等の制度的な制約、(2)農家の非生産分野における技術水準、(3)農村空間保全の中身の不明確性と具体的な業務体形の未形成、が挙げられた。 他方、受託側となる農家に関しては、現有の機械の稼働率向上に結びつく作業に関しては受託の需要があるものの、(1)農閑期のアルバイトとして雇用の場があればよく、事業を受託する形での業務受託には抵抗感があること、(2)補助事業、保険制度の規制から自由に業務受託ができない、(3)農村空間の保全についての意識が未成熟あるいは具体性の欠如、といった問題点が指摘できた。 調査からは、料金水準、技術水準という問題よりも、受委託のシステムの工夫の必要性があるといえ、自治体と農家の間に仲介・調整といったワンクッションが入るような体制が望まれることが明らかになった。その点、ドイツのマシ-ネンリングにみられるように、自治体と農家の間にマシ-ネンリングが受委託の仲介・調整役として介在し、制度的な煩雑さもそこで吸収できるような受委託のシステムは有益な参考材料といえた。
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