1997 Fiscal Year Annual Research Report
緑色葉菜類の弱光照射CA貯蔵法の提案とその実証試験
Project/Area Number |
09760236
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
富士原 和弘 千葉大学, 自然科学研究科, 助教授 (30211535)
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Keywords | 低温貯蔵 / 弱光照射 / CA貯蔵 / 発光ダイオード / CO_2濃度 / 色差 / 外観品質 / 香草 |
Research Abstract |
収穫後のチャービル(生食用ハ-ブの一種)株を供試植物として、気温5±0.5°C(低温貯蔵用気温)、O_2濃度21±1%(通常大気濃度)下において、CO_2交換速度0、すなわちCO_2収支が0となるCO_2濃度および光強度(光合成有効光量子束密度)の組み合わせを策定する試験を行った。なお、O_2濃度を通常大気程度としたのは、O_2濃度制御を必要としない実用的な貯蔵システムの開発を念頭に置いたためである。光源には赤色発光ダイオード(ピーク波長:690nm)を用いた。その結果、CO_2濃度をx[%]、光強度をy[μmol・m^2・s^<-1>]とすると、その組み合わせは、y=0.2784+0.0657/x(r^2=0.9678)で近似できる曲線上に存在することがわかった。次に、この曲線上からCO_2濃度と光強度の組み合わせを3組選び山し、実際にその環境条件下で、それぞれ4週間の貯蔵試験を行った。その結果、貯蔵後の色差および外観品質の主観評価値から、CO_2濃度0.5%+光強度0.5μmol・m^2・s^<-1>の組み合わせが、1.0%+0.2μmol・m^2・s^<-1>および0.05%(通常大気濃度)+1.6μmol・m^2・s^<-1>よりも収穫後のチャービル株の貯蔵に適していることが明らかとなった。このことは、CO_2交換速度を0とするようなかなり限定された環境条件下にあっても、さらに最適なガス組成と光強度の組み合わせが存在することを示すものである。また同時に、光補焦点付近の弱光照射により乾物重維持を行う弱光照射貯蔵法よりも、それにCAの考えを導入した弱光照射CA貯蔵法の方が、緑色葉菜類の低温貯蔵に有効な貯蔵法であることを示すものである。次年度は、貯蔵蔵期間中の緑色葉菜類のCO_2収支を常に0に維持するために光強度をPID制御した貯蔵試験など、より効果的な弱光照射CA貯蔵法の開発へ向けた試験を行う。
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