1997 Fiscal Year Annual Research Report
感染防御を目的としたビフィズス菌の腸上皮細胞への接着機構
Project/Area Number |
09760246
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
向井 孝夫 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (20229917)
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Keywords | ビフィズス菌 / Bifidobacterium / レクチン / 細胞付着 / Caco-2細胞 |
Research Abstract |
腸内有用細菌とされているビフィズス菌の細胞認識機構はこれまで未解明の部分が多い状況にあった。もし、このメカニズムが明らかになれば細胞上での付着の競合による感染症起因菌の排除も期待することができる。著者はこれまでヒト結腸由来Caco-2細胞へのビフィズス菌の付着性は菌株によって異なること、また高い付着性を示すビフィズス菌株(Bifidobacterium bifidum)のスクリーニングに成功してきた。そこで本申請課題では本菌の細胞付着機構を解明することとした。 本菌のCaco-2細胞への付着性は細胞の過ヨウ素酸処理、種々のレクチン存在下で低下したことから、本株の糖鎖結合性が細胞の付着に関わっているものと考えられた。そこで、本株の糖鎖結合性をTLC免疫染色法によって12種類の糖脂質に対する結合性を検討したところ、特定の糖脂質に結合すること、また、糖鎖部位に結合することが示され、本株がレクチン様の性質を有することが明らかとなった。さらにCaco-2細胞から糖脂質画分を抽出し、結合性を検討した結果、複数の糖脂質に結合することが明らかとなった。これらの糖脂質の構造は今後解析していく予定ではあるが、ビフィズス菌の中には消化管上皮細胞上の糖脂質に結合することによって付着、定着している菌株が存在していることが示唆された。またこのような性質が感染症起因菌の排除などが生体防御機構の一端を担っている可能性も考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takao Mukai: "Collagen binding of Bifidobacterium adolescentis" Current Micvobiology. 34. 326-331 (1997)
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[Publications] 向井 孝夫: "腸内フローラと腸内増殖(分担執筆)" 学会出版センター, 160 (1997)