1997 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン様成長因子^Iの生理活性を増強するcAMP依存性チロシンキナーゼの探索
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09760250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伯野 史彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30282700)
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Keywords | インスリン様成長因子I / チロシンキナーゼ / differential display / cAMP経路 / 情報伝達 |
Research Abstract |
本研究はラット甲状腺由来細胞FRTL-5細胞を用いてcAMP刺激によって発現量または活性の変化するチロシンキナーゼ遺伝子のクローニングを目的としている。 cAMPのアナログであるBt_2cAMPで長時間処理した細胞と処理していない細胞とから抽出したRNAから、チロシンキナーゼに保存された配列に対するプライマーを用いてdifferential display法を行い、cAMP経路の刺激によって転写量の増加するチロシンキナーゼ遺伝子のクローニングを試みた。しかし、この方法でクローニングした遺伝子の中ににチロシンキナーゼをコードするものは含まれていなかった。これは、differential displayで用いるRT-PCRの条件が緩く非特異的に増幅される遺伝子が多いためと考えられた。そこで、チロシンキンナーゼで保存されたアミノ酸配列から4つのプライマーを作製し、RT-PCRによってチロシンキナーゼ遺伝子のクローニングを試みた。その結果、現在までに既知のチロシンキナーゼが10種類単離された。RT-PCR産物とクローニングした遺伝子とを用いたサザンブロッティングによって、JAKl,p56tckチロシンキナーゼ遺伝子の転写量がcAMPで刺激した細胞で上昇していると予想された。この予想を確かめるため、JAKl及びp56tckに対して特異的なプライマーを作製し、定量的RT-PCRによって発現量の違いを測定した。その結果、p56tck遺伝子の転写量がcAMP刺激により顕著に増加することが示された。 今後、さらにチロシンキナーゼ遺伝子をクローニングして転写量の増加する遺伝子を同定していきたい。また、転写量の増加するチロシンキナーゼに関してはそのタンパク質量、活性化量の違いについても検討を加えていきたい。
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[Publications] T.Koide et.al.: "Insulin-Like Growth Factor-I Potentiates Protein Synthesis Induced by Thyrotropin in FRTL-5 Cells:Comparison of Induction of Protein Synthesis and DNA Synthesis" ENDOCRINE JOURNAL. 45・2. (1998)
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[Publications] 高橋 伸一郎、伯野史彦: "インスリン様成長因子の細胞内シグナル伝達" ホルモンと臨床、別冊. 46(2). 89-103 (1998)
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[Publications] Y.Ito.et.al.: "Interaction between cAMP-dependent and insulin-dependent signal pathways in tyrosine phosphorylation in primary cultures of rat hepatocytes" Biochem.J.324. 379-388 (1997)