1997 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ筋肉内に存在する脂肪前駆細胞の増殖・分化を調節するパラクライン因子の固定
Project/Area Number |
09760254
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鳥居 伸一郎 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (50263132)
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Keywords | 脂肪前駆細胞 / 脂肪細胞 / ウシ |
Research Abstract |
ウシの脂肪組織における脂肪細胞分化にパラクライン調節が存在することを明らかにするために、以下の実験を行った。屠畜場において、食肉用として出荷されたウシから脂肪組織を採取し、コラゲナーゼ消化および遠心分離により脂肪前駆細胞を含む間質血管系細胞を得た。これを12wellディッシュ上で増殖させ、コンフルエントに達した時点で脂肪組織への分化を誘導する培地(分化培地)に置換するとともに以下の(1)および(2)の実験に供した。(1)共培養系を用いた実験 同様に採取したウシ脂肪組織を、脂肪前駆細胞の培養wellに1wellあたり約50mg浮遊させて3日間培養した。その後組織を取り除き、分化培地で7日間培養を続けた。(2)培養上清を用いた実験 ウシ脂肪組織を3日間培養して得られた培養上清を、脂肪前駆細胞の培地にさまざまな濃度で添加して10日間培養した。いずれの実験も、培養終了後、脂肪細胞への分化をグリセロール-3ーリン酸デヒドロゲナーゼ活性の測定および顕微鏡観察(脂肪滴を含有する細胞の計数)により評価した。その結果、共培養が脂肪細胞分化に与えた効果は、脂肪組織と脂肪前駆細胞を調製したウシの組み合わせにより異なっており、共培養により分化が促進された場合と、逆に抑制された場合の両方が観察された。一方、脂肪組織を培養して得た培養上清を脂肪前駆細胞の培地に添加することにより、脂肪細胞への分化が抑制された。以上のことから、脂肪組織は脂肪細胞の分化を促進する物質と抑制する物質の両方を分泌しうる可能性が推察された。
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Research Products
(2 results)