1997 Fiscal Year Annual Research Report
単一副腎髄質細胞におけるイノシトール3燐酸によるCa放出機構と分泌反応の解析
Project/Area Number |
09760261
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 利男 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (20176895)
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Keywords | ムスカリン受容体 / 細胞内カルシウムストア / カルシウム依存性カリウムチャネル / イノシトール3燐酸 / パッチクランプ / 細胞内カルシウム濃度 / 副腎髄質細胞 |
Research Abstract |
イノシトール3リン酸(IP3)によるカルシウム(Ca)放出機構を調べるために、モルモット分離副腎髄質細胞を用いて、IP3をセカントメッセンジャーとするムスカリン受容体刺激による膜電流反応と細部内Caイオン濃度([Ca^<2+>]i)の関係を調べた。1、単一モルモット副腎髄質細胞の膜電流反応をホールセルパッチクランプ法により、また[Ca^<2+>]i変化をfura-2マイクロフルオロメトリー法により測定した。保持電位-60mVで細胞をムスカリン刺激すると、[Ca^<2+>]iの一過性の上昇が生じ、また同時に与えたランプ電位誘発性の外向き電流を著明に増加させた。2、Kイオン平衡電位を0mVにした条件ではムスカリンによる[Ca^<2+>]iに伴い一過性の内向き電流が発生した。この電流反応は細胞内をCsイオンに置換することにより消失した。3、ムスカリンによる[Ca^<2+>]i増加、外向き電流反応とも細胞外Ca除去によって減少したが、完全には消失しなかった。4、Ca活性化Kチャネル遮断薬であるカリブドトキシン及びアパミンはムスカリンによる[Ca^<2+>]i増加反応には影響を与えず、外向き電流のみを抑制した。5、IP3の細胞内投与により、ムスカリンに類似した[Ca^<2+>]i増加と外向き電流が生じた。6、細胞内IP3濃度を瞬間的に増加させることができるcaged-IP3を用いて、IP3により生じる反応のキネティクスを検討した。Caged-IP3を導入した細胞では、光照射によりムスカリン刺激と類似の外向き電流と[Ca^<2+>]i増加が見られた。また、電流固定モード下では光照射により一過性の過分極が発生した。本年度の研究ではムスカリン受容体刺激により一過性の[Ca^<2+>]i増加反応に伴い、Ca依存性Kチャネルが活性化すること、更にこの反応にIP3が関与していることが示されたことから、IP3は細胞膜のイオンチャネルの活性化を介して細胞の電気的興奮性を制御していることが示された。平成10年度は単一細胞からのカテコールアミン放出測定を行い、ムスカリン刺激及びIP3による[Ca^<2+>]i増加反応と分泌機能との関係を明らかにする。
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[Publications] Ohta Toshio: "Ca^<2+>-dependent K^+ currents induced by muscarinic receptor actibation in guinea pig adrenal chromaffin cells." Journal of Neurochemistry. 70. 1280-1288 (1998)
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[Publications] Ito Shigeo: "Changes in intracellula Na^+ concentration evoked by nicotinic receptor activation in the guinea pig adrenal chromaffin cells." Neuroscience Letter. 238. 111-114 (1997)
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[Publications] Ohta Toshio: "Adrenal Paraneuron" Hokkaido University Press, 326 (1998)