1997 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化によってアクチンとの結合が制御されるタンパク質の分離同定
Project/Area Number |
09760264
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 文彦 東北大学, 農学部, 助教授 (20271893)
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Keywords | リン酸化 / アクチン / 細胞骨格 |
Research Abstract |
ウサギ骨格筋より精製したアクチンを重合後ラジオアイソトープで標識し、これをプローブとして予めニトロセルロース膜に転写しておいたタンパク質とインキュベートすることによってアクチン結合タンパク質を検出することができた。ニトロセルロース膜上に複数のバンドが検出されたが、そのうちの一つはリン酸化モエシンと同定された。すなわち、本研究で用いた方法によって、モエシンとアクチンフィラメントの結合が、モエシンのリン酸化によって制御されていることを示唆する結果が得られた。続いて、リン酸化モエシンとアクチンフィラメントの結合が、溶液中でも検出できるがどうかを調べるために、アクチンフィラメントとの共沈法を試みた。アクチンはウサギ骨格筋およびヒト血小板より精製した。また、リン酸化あるいは脱リン酸化モエシンはヒト血小板をそれぞれ、フォスファターゼ阻害剤あるいはキナーゼ阻害剤で処理し、破砕液をクロマトグラフィーに共することによって精製することができた。共沈実験の結果、従来の法ではモエシンが凝集して非特異的に沈降してしまうため、あたかもアクチンと共沈したかに見えるが、界面活性剤を添加すると、モエシンは可溶性となり、リン酸化モエシンのみアクチンの種類に関係なくアクチンフィラメントと共沈することが明らかとなった。定量的な実験を行った結果、リン酸化モエシンとアクチンフィラメントはモル比にして1 : 1(リン酸化モエシン:アクチンモノマー)で結合し、解離定数は10nM以下であることがScatchard解析より明らかになった。
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