1997 Fiscal Year Annual Research Report
イヌのグルタミン酸輸送体の機能と構造およびその遺伝的変異に関する研究
Project/Area Number |
09760270
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐藤 耕太 鳥取大学, 農学部, 助手 (50283974)
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Keywords | グルタミン酸 / 膜輸送 / 遺伝的変異 / 神経変性疾患 / 脳 / 赤血球 / イヌ |
Research Abstract |
PCR法により増幅したイヌ脳由来グルタミン酸トランスポーターの部分cDNA塩基配列を基にイヌ脳グルタミン酸トランスポーター遺伝子特異的プライマーを作製し,3-Rapid amplification of cDNA ends(RACE)および5'-RACEを行い特異的産物を得た.つぎにこれらを結合し全長クローンを作製し,その全塩基配列を決定した.得られたクローンは全長3811bpで120bpの5'-非翻訳領域と542アミノ酸をコードするOpen reading frameおよび約2kbの3'非翻訳領域を含んでいた.塩基配列から予想されるアミノ酸配列レベルでヒト,ウシおよびラットのGLASTサブタイプのホモログにそれぞれ97%,97%および95%と非常に高い相同性を示した.このことから単離されたクローンはイヌのGLASTホモログであることが確認された.さらに,このクローンのcRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に一過性に発現させたところ,ナトリウム依存性のグルタミン酸の取り込みが確認された.また,動力学的および薬理学的特徴はイヌ赤血球の特徴に一致した.また,RT-PCRにより骨髄および網状赤血球にGLASTのmRNAの存在が確認されたことから赤血球型のGLASTサブタイプであることが確認された. 以上のことから,本クローンはイヌ脳のナトリウム依存性グルタミン酸トランスポーターの一つであり,赤血球に発現しているサブタイプであるものと考えられた.このクローンは今後,イヌの中枢神経の神経変性疾患におけるグルタミン酸トランスポーターの役割を解明するために非常に有用であるものと考えられ,さらにイヌ赤血球に見られるグルタミン酸輸送体の活性節機構の遺伝的変異の解明に大きく寄与するものと考えられる.
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