1998 Fiscal Year Annual Research Report
牛の黄体発育過程におけるLH受容体のスプライシング異型体の発現と機能
Project/Area Number |
09760272
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川手 憲俊 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80221901)
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Keywords | 牛 / 黄体 / LH受容体 / mRNA / スプライシング異型体 / クローニング |
Research Abstract |
牛の黄体における黄体形成ホルモン(LH)受容体mRNAのスプライシング異型体の発現についてRT-PCR法により検討し、さらに準定量的RT-PCR法を用いて黄体発育過程におけるその量的変化について検討した。また牛LH受容体異型体の機能について検討する目的で完全長cDNAのクローニングを行った。 RT-PCRによって得られた増幅産物は明瞭な4本のバンドから構成されており、その塩基配列については最長のバンドは全長型(A form)で牛LH受容体cDNAの当該領域の配列と同一であった。残りの3本のバンドは、LH受容体mRNAの異型体であった(F、BおよびG formと命名)。4種のmRNA量は黄体発育過程においてほぼ同様に増加した。 また、牛のLH受容体の完全長cDNAのクローニングをRT-PCR法を用いて実施した。RT-PCRは3つの断片に分けて行い、その後3つの断片を制限酵素による切断後、DNAリガーゼによりつなぎ合わせて、4種の完全長cDNA(A,F,BおよびG form)を得た。それらの塩基配列を決定した結果、F formは細胞外のLHと結合する領域の短い部分のみが欠失しており、細胞膜貫通領域および細胞内領域はA formと同一であることがわかった。B formについてはmRNAの一部欠失によるアミノ酸読み枠の移動が起こり、そのため膜貫通領域および細胞内領域を持たない異型体であることが明らかになった。またG formについては、B formの細胞外領域の一部がF formと同様に欠失したものであることがわかった。得られたLH受容体の4種の全長cDNAは哺乳動物発現用のベクターに組み換えて、猿腎臓由来の細胞株に遺伝子導入を行い、その機能について現在解析中である。 以上の成績から、牛のLH受容体mRNAのスプライシング異型体は少なくとも3種類存在し(F,BおよびG form)、さらに4種類のmRNA量は黄体発育過程においてほぼ同様に参加することが示唆された。またその3種類の異型体は細胞外領域の一部のみが欠失するもの(F form)、膜貫通領域および細胞内領域が完全に欠損するもの(BおよびG form)であることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)