1997 Fiscal Year Annual Research Report
ネコカリシウイルス非構造蛋白の同定とその機能の解析
Project/Area Number |
09760274
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
遠矢 幸伸 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (20180119)
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Keywords | ネコカリシウイルス / 非構造蛋白 / RNA / 組み換え発現 |
Research Abstract |
本研究の目的はネコカリシウイルス(FCV)の各非構造蛋白の分子量と遺伝子領域を同定し、それらの機能を解析することにある。本年度はORF2の5'末端側372塩基からなるカプシド蛋白前駆体特異遺伝子領域(PSR)とORF3(318塩基)のコードする蛋白を大腸菌で融合蛋白として発現させ、主にイムノブロット解析によりFCV感染細胞内での発現蛋白の同定及び両蛋白の猫における免疫原性の検討を行った。 両大腸菌発現産物の免疫原性をFCV感染猫ペア血清を用いたイムノブロットで検討したところ、PSR融合蛋白は感染後の血清と強い反応を示し免疫原性が高いことが示唆された。しかし、ORF3融合蛋白は感染前後の血清との反応性に変化は認められなかった。次に、両融合蛋白をSDS-PAGEで泳動後各々抽出し、マウスに免疫して作製した血清をイムノブロット解析に用いた。PSR免疫血清はFCV感染細胞中のカプシド蛋白前駆体(76kD)および14kDの蛋白と強く反応し、開裂したカプシド蛋白前駆体のN末端側ポリペプチドが14kDの蛋白として感染細胞中に存在することが示された。一方、ORF3産物は10kDの蛋白として検出されたが、そのFCV感染細胞中での発現量はPSR産物に比べ少ないことが推定された。精製ウイルスを抗原としたイムノブロットでは両蛋白とも検出されず、また、両免疫血清にウイルス中和活性が認められなかったことより、両遺伝子発現産物はFCVの非構造蛋白として何らかの機能を有していることが考えられた。 現在は、カプシド蛋白前駆体をtransに切断するウイルス蛋白遺伝子領域を決定するため、ORF1の各領域をCOS細胞発現ベクターに組み込み、ORF2発現ベクターとCOS細胞へ導入し、3C領域発現産物に切断活性が認められる結果を得ている。今後は、ORF1各領域特異的血清と感染性クローンを用いた解析を行う予定である。
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