1997 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物と単胃動物におけるタマネギ中毒発症機序の違いとその原因の解明
Project/Area Number |
09760283
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大和 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (80261337)
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Keywords | タマネギ中毒 / 第一胃内細菌 / 赤血球 / 酸化傷害 / メトヘモグリビン |
Research Abstract |
反芻動物におけるタマネギ中毒の発症機序を解明することによって、植物中毒発現機序に関する反芻動物と単胃動物の違いを明らかにするために、以下の実験成績をあげた。 1.反芻動物におけるタマネギ中毒発症に関与する第一胃内細菌の同定 ヒツジ第一胃液から無作為に分離した細菌コロニーから、タマネギ成分を代謝して、ヒツジ赤血球のメトヘモグロビン濃度を上昇させる化合物を生成しうる細菌コロニーを選択した。このような活性菌は、ヒツジ2頭から5菌株、ウシ2頭から11菌株、ヤギ5頭から1菌株が分離された。さらに、ヒツジから得た1株菌はLactococcuslactis lactisであり、他の15菌株はStreptococcus bovisであることが判明した。また、ヒツジ第一胃液から活性菌として分離されたStreptococcus bovisの2菌株について、薬剤感受性試験を実施したところ、各種ペニシリン系薬剤、テトラサイクリン、エリスロマイシン、リンコマイシンおよびクロラムフェニコールに対し感受性を示した。以上の成績から、反芻動物のタマネギ中毒発症には、第一胃内のStreptococcus bovisが主に関与していることが判明した。また、これらの薬剤が、反芻動物のタマネギ中毒に対する原因療法薬として臨床応用可能な抗生物質であることが示唆された。 2.第一胃細菌の作用によって生成されるタマネギ中毒原因物質の精製単離 タマネギジュースとヒツジ第一胃液を38.5℃で嫌気的条件下でインキュベーションした。この遠心上清をジエチルエーテルで抽出し、抽出物41gを得た。ヒツジ赤血球のメトヘモグロビン生成率を指標としたバイオアッセイを用い、この抽出物の各種クロマトグラフィーで検索した結果、これまでに3つの化合物を単離した。これらの化合物が反芻動物におけるタマネギ中毒発症に関与するものと考えられ、現在構造解析中である。
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