1997 Fiscal Year Annual Research Report
内在性ネコ白血病ウイルスを用いたネコ免疫不全ウイルスの感染防御に関する研究
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09760288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮沢 孝幸 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80282705)
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Keywords | 内在性ネコ白血病ウイルス / ネコ免疫不全ウイルス / SDF-1 / Env蛋白 / Gag蛋白 / 感染防御 / レセプター / ネコヘルペスウイルス1型 |
Research Abstract |
本研究は内在性ネコ白血病ウイルス(enFeLV)による外来性ネコ白血病ウイルスサブグループB(FeLV-B)に対する感染防御の機構を詳しく解析するとともに、そのenFeLVを利用して、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)の感染を阻止する方法を確立することである。その目的に向かってまず1)enFeLVによるFeLV-Bの感染ブロックのメカニズムを詳細に解析し、2)FIVのレセプター結合部位を決定することとした。次いで、3)FIVのレセプター結合部位をenFeLVのenv蛋白に導入し、FIV感染ブロック能を賦与できるか、in vitroで検討する。さらに、4)そのリコンビナントenv遺伝子をウイルス系ベクターなどを利用して、ネコの細胞に導入する。最終的には、5)リコンビナントenv遺伝子をin vitroで骨髄細胞に導入し、その細胞を骨髄に戻し実際にネコの体内でFIV感染が阻止できるかどうか検討するものである。本年度は以下の研究をおこなった。enFeLVEnv蛋白をCOS細胞に発現させたものを用いて、FeLV-Bの感染がブロックされる過程を検討したところ、enFeLVEnv蛋白が細胞外に急速に輸送され、その可溶性蛋白により、FeLV-Bに感受性のある他の細胞への感染が阻止できることを明確にした。また、ごく最近FIVのコレセプターに結合し、感染を阻止できると報告されたSDF-1αおよびβのクローニングと発現、塩基配列の決定に成功し、現在それらのファクターのFIV感染阻止能を検討している。また、リコンビナイト蛋白を導入すべくベクターの開発をネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)、ネコ巨細胞形成ウイルス(FSV)を用いて行っている。FHV-1に関してはFIVのgagとenv遺伝子を導入したリコンビナイトウイルスの作製に成功した。FSVに関しては部分的遺伝子のクローニングと塩基配列の決定を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Nishimura, T.Miyazawa, et al.: "Molecular cloning and sequencing of feline stromal cell-derived factor-l α and β." European Journal Immnogenetics. (in press).
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[Publications] E.Sato, N.Yokoyama, et al.: "Construction of a recombinant feline herpesvirus type l expressing Gag precursor protein of feline immunodeficiency virus." Archives of Virology. (in press).
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[Publications] Y.Inoshima, T.Miyazawa, and T.Mikami.: "The roles of vif and ORF-A genes and AP-1 binding site in in vivo replication of feline immunodeficiency virus." Archives of Virology. (in press).
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[Publications] G.Inada, T.Miyazawa, et al.: "Phylogenetic analysis of feline immunodeficiency virus isolated from cats in Taiwan." Archives of Virology. 149. 1459-1467 (1997)
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[Publications] Y.Inoshima, T.Miyazawa, et al.: "Cross virus neutralizing antibodied against feline immunodeficiency virus genotypes A,B,C,D and E." Archives of Virology. 143. 157-162 (1998)
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[Publications] M.Shimojima, T.Miyazawa, et al.: "Expansion of CD8α^tβ^- cells in cats infected with feline immunodeficiency virus" Journal of General Virology. 79. 91-94 (1998)