1998 Fiscal Year Annual Research Report
急性相タンパク質の新規動物資源生産管理および野生動物生態調査への応用
Project/Area Number |
09760297
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
森松 正美 岩手大学, 農学部, 助教授 (70241370)
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Keywords | 急性相タンパク質 / シカ / クマ / ハプトグロゼン |
Research Abstract |
生体が、感染、炎症、ストレス等による侵襲を受けると、肝臓から血液中に特定の一群の生体防御関連タンパク質、すなわち急性相タンパク質が分泌される。この研究の目的は、急性相タンパク質の測定による動物の健康管理を新規家畜や野生動物に応用することにより、基礎研究及び関連産業の発展への貢献をはかることである。本研究では、クマおよびシカの急性相タンパク質に焦点をあてて、免疫測定法を確立するとともに飼育個体や野生個体における変動を解析して,これらの新規家畜や野生動物の健康管浬に利用することを計画した。平成10年度は,急性相タンパク質測定法の確立,試料の収集と測定の実施を中心に以下のごとく検討した. クマの急性相タンパク質:クマの急性相タンパク質のうち,ハプトグロビン(Hp),α2-マクログロブリン(α2M),α1-アンチトリプシン(α1-AT)およびC-反応性タンパク質(CRP)について単純放射免疫拡散法(SRID法)あるいはウエスタンプロット法による測定を行った。野生個体の捕獲例では,外見的に正常な個体に比べ外傷を負った個体で顕著なハブトグロビンの増加が認められた。健康な飼育個体で冬眠との関係に着目して調べたところ,冬眠に伴ってHpとα2Mが増加したが,α1-ATとCRPは変化しなかった。クマの健康管理に急性相タンパク質の測定が有用であると思われるが,冬眠など生理的な変化の影響について留意する必要がある。 シカの急性相タンパク質:シカの血清をポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析したところ,健康状態によって顕著に変化するタンパク質を見いだした。これを分離して分析し,シカHpと同定した。クマの例と同様に特異的な免疫測定法を確立して調べた結果,シカでHpが炎症性の刺激により急激に増加する良いマーカーとなりうろことが示された。
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