Research Abstract |
星細胞は,retinoidを貯留,放出することは知られているが,その詳細について,特にretinoidの放出に関しては,明らかにされていない。そこで,retinoic acid(RA)に応答してluciferase activit(LA)が強く誘導されるplasmidを肝細胞にtransfectionさせ、星細胞から肝細胞へのretinoidの移送をLAを測定することにより検討した。(方法)a)細胞分離;Wistar雄ラットを用い,肝細胞をcollagenase潅流にて分離し,35mm collagen I coated dishに5×10^5の細胞数で培養した。星細胞は,pronase/collagenase潅流にて分離後,肝細胞と共培養した。b)Transfection;plasmid DNA,TK-βRARE-LUC,(Drs Evans and Umesonoより供与)をlipofectinと混合させ,これを肝細胞培養上清中に添加した。5時間の培養後,transfectionを終了させ,RA,retinol(ROH),retinyl palmitate(RP)および様々な刺激物質を添加し,さらに24時間の培養を行った。c)Reporter gene assay;細胞を溶解させ,その抽出液を遠心し,上清をluciferine,ATP,CoAを含む発光基質液と混和し,automated luminometerを用いLAを測定した。(結果)このplasmidを肝細胞,Kupffer細胞,星細胞にtransfectionさせたところ,肝細胞においてのみ明らかにLAが認められた。transfectionさせた肝細胞の培養上清中にRA,ROH,RPを添加させると濃度依存的にLAが上昇した。10^<-8>,10^<-7>,10^<-6>MのRAの添加でLAはcontrolの7.2±1.0からそれぞれ24±6,30±5,46±9kcpmと上昇し,10^<-7>,10^<-6>,10^<-5>MのROHの添加では,7.7±1.2,14±2.6,23±7kcpmと上昇した。肝細胞を星細胞と共培養させると,肝細胞からのLAは,肝細胞の単独培養より上昇した。しかも星細胞の共培養数を10^4,10^5,10^6/wellとすると,それぞれcontrolの1.3,3.0,3.6倍にLAが上昇した。また,7日培養後の星細胞を共培養させると,一日後の星細胞の共培養に比べ,そのLAは低下していた。興味深いことに,抗RBP抗体の添加では共培養のLAはほとんど減少せず,また,星細胞と肝細胞を分離共培養してもLAはほとんど減少しなかった。(結語)TK-βRARE-LUCを用いることにより,星細胞から肝細胞へのretinoidの移送が明らかとなった。
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