1997 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス小胞の開口分泌に関与する新しい分子のクローニングと機能の解析
Project/Area Number |
09770015
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
森川 吉博 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60230108)
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Keywords | サイトカイン / 造血 / シナプス / 増殖 / 分化 / クローニング / 開口分泌 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
我々はIL-3/GM-CSF/IL-5レセプター系でのシグナル伝達をより詳細に解析するためにmRNA differential display法を用いてIL-3、GM-CSF、IL-5などで誘導される遺伝子を探索したところ、SNAP-25(synaptosome-associated protein of 25 kDa)と核酸レベルで60-70%のホモロジーを有する遺伝子の断片をクローニングした。SNAP-25は脳のシナプスにおいてsyntaxinやsynaptobrevinと複合体を形成することによってシナプスにおける開口分泌に関与する。今回得られた遺伝子が脳以外の組織において発現されるSNAP-25類似の分子なのかを検討し、さらにこの新規の遺伝子の発現における種々のサイトカインの役割を検討した。 1.今回得られた遺伝子断片はcoding regionの3′側の一部と考えられるため、これをプローブとしてIL-3で刺激した造血系細胞から作成したcDNA libraryより全長cDNAのクローニングをおこなった結果、この遺伝子はSNAP-23のマウスホモログであった。 2.種々の臓器での発現状況をNorthern blot analysisにて解析した結果、脳と精巣ではその発現が非常に弱かったものの、心、肺、肝、腎、脾など種々の臓器で広範に発現していた。 3.マウスSNAP-23はIL-3/GM/CSF/IL-5に加えて、種々のサイトカイン(IL-2,IL-10,LIF,SCF,EPO,G-CSF)の刺激によってもその発現が誘導された。 4.Ba/F3細胞に種々のhGM-CSFR欠失ミュータントを発現させ、レセプターのどの部位がSNAP-23発現に必要かを検討した結果、レセプターの遠位部が必要であった。このことはSNAP-23発現のためのシグナル伝達はJAK-STAT系以外の、たとえばRAS-RAF-MAPK系などによることが示唆された。
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