1997 Fiscal Year Annual Research Report
内向き整流性カリウムチャネルの単一伝導度を規定する分子構造の解析
Project/Area Number |
09770029
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長島 雅人 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20264525)
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Keywords | カリウムチャネル / 単一伝導度 / 分子構造 / 心筋 |
Research Abstract |
研究初年度である本年はまず、nativeの細胞において明らかにウサギの心室筋の内向き整流性カリウムチャネルと単一伝導度が異なっているラットの内向き整流性カリウムチャネル遺伝子の全長のクローニングを試みた。方法はウサギ心室筋からクローニングした内向き整流性カリウムチャネル遺伝子(RBHIK1)との相同性に着目し、RT-PCR法(3'RACE法,5'RACE法)を用いた。その全長をクローニングした後、シークエンスをダイデオキシ法を用いて行った。その遺伝子はカリウムチャネルの分類ではKir2.1に属し、アミノ酸配列はRBHIK1と比べるとM1からM2領域の間で2箇所、それよりC末で7箇所の差異が認められ、C末の変異の一つは負電荷を持つアミノ酸から中性電荷のアミノ酸への変化であった。この遺伝子を挿入したプラスミドDNAをテンプレートとして、in vitroでmRNAを作成し、アフリカツメガエル卵母細胞に発現させた。まずは二本刺電位固定法により全電流を測定したところ、その電流はRBHIK1を発現させた時に得られたものと有意な差異は認められなかった。次にパッチクランプ法を用いて単一チャネル電流を測定したところ、単一チャネル伝導度は約25pSであり、RBHIK1の単一伝導度より、5pSほど大きな値を示したが、nativeのラット心筋細胞の内向き整流性カリウムチャネルの単一伝導度の半分くらいであり、nativeとクローンの解離が認められた。5pSの伝導度の差異は、構造と単一伝導度の関係を解析するには、やや小さな値であり、研究方法の変更を迫られた。現在はクローンチャネルの中で単一伝導度が、Kir2.1の約2倍あるとされているKir2.2型チャネルのクローニングを試みており、今後はKir2.1型チャネルとKir2.2型チャネルのキメラ作成などを通じて構造と単一伝導度の関係にアプローチしたいと考えている。補助金により購入したPCRサーマルサイクラ-は、当然のことながらPCRクローニングの遂行に多大な貢献をしている。
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[Publications] Masato Nagashima: "α_1-Adrenoceptor Subtype Involved in the Positive and Negative Inotropic Response to Phenylephrine in Rat Papillary Mascle" Gen.Pharmac.28(5). 721-725 (1997)
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[Publications] Masaki Sugawara: "Vascular reactivity to EDRF in human umbilical artery at term pregnancy." Can J Physiol Pharmacal. 75(7). 818-824 (1997)
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[Publications] Naomasa Makita: "A de novo missense mutation of human cardiac Na channel exhjbiting novel molecular mechanisms of long QT symarome" FEBS Letter. 423(1). 5-9 (1998)