1998 Fiscal Year Annual Research Report
虚血時心筋収縮力低下に対する長さ依存性代償機転の関与とその調節機序
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09770032
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
本郷 賢一 東京慈恵会医科大学, 内科学講座・第4, 講師 (00256447)
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Keywords | 細胞内カルシウム / 心筋収縮 / カルシウム感受性 |
Research Abstract |
今年度は、単一心室筋細胞を用いて、生筋レベルでのカルシウム感受性の評価法を考案し、心筋収縮力の調節機序について検討を行った。酵素処理により単離したラット心室筋細胞に蛍光指示薬Fura-2を導入し、細胞内カルシウム濃度と細胞収縮を同時測定した。筋小胞体カルシウムポンプ抑制薬であるthapsigargin存在下に細胞に10Hzの頻回刺激を与えて定常状態の収縮(強縮)を作成し、強縮全経過中の細胞内カルシウム濃度を横軸に、細胞収縮を縦軸にとると、両者の関係は狭いループ(R-L trajectory)を描き、このR-L trajectoryの傾きより収縮蛋白系のカルシウム感受性の評価が可能であると考えた。カルシウム感受性増強薬であるEMD57033によりR-L trajectoryは左にシフトし、カルシウム感受性の増大が示された。一方、β受容体刺激薬であるイソプロテレノールや非選択的ホスホジエステラーゼ阻害薬IBMXにてR-L trajectoryは右方にシフトし、カルシウム感受性の低下と一致するものと考えられた。本方法を用いて、虚血時の心収縮力低下の一因として重要なアシドーシスの効果につき検討を行った。細胞に強縮を一定の頻度で発生させ、アシドーシス条件下での時間依存性の収縮蛋白系カルシウム感受性の評価を行った。アシドーシス導入により、R-L trajectoryは瞬時に極度の右方シフトを示したが、その後数分の経過にてR-L trajectoryは徐々に左方にシフトし、カルシウム感受性の部分的な回復が認められた。アシドーシスを除去すると、R-L trajectoryはアシドーシス導入前よりも更に左方にシフトし、これはカルシウム感受性の一過性の増大によるものと考えられた。
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Research Products
(1 results)