1997 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン応答性の糖輸送体(GLUT4)遺伝子の発現調節機序の解明
Project/Area Number |
09770050
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
池本 真二 国立健康・栄養研究所, 臨床栄養部, 室長 (10176117)
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Keywords | GLUT4 / トランスジェニックマウス / 運動 / シスエレメント |
Research Abstract |
マウスGLUT4ミニジーンの5'欠失ミュータントを導入したトランスジェニックマウスを作成し、組織特異的なシスエレメントと運動による発現増加に関与するシスエレメントを検討した。 転写開始点より上流の3237bp、2000bp、1000bp、442bp、全てのエキソン・イントロン、約1kbの下流領域を含むマウスGLUT4ミニジーンを導入したトランスジェニックマウスを作成した。各々のGLUT4mRNAの発現を各組織において検討したところ、-3237、-2000、-1000のトランスジェニックマウスでは、内因性同様に骨格筋、脂肪組織(白色・褐色)、心筋において強い発現が認められた。しかし、-442のトランスジェニックマウスでは、骨格筋、心筋においては、比較的強い発現が認められたが、白色脂肪組織では弱く、褐色脂肪組織では発現が認められなかった。これらの結果から、-1000と-442の間にWAT特異的なエンハンサーが存在すること、-1000と-442の間にBAT特異的な強いエンハンサーが存在することが明らかになった。また、運動に反応するシスエレメントを調べる目的で、各々のトランスジェニックマウスに30分、4セットのスイミングを3週間行わせた。-3237、-2000、-1000のトランスジェニックマウスでは、内因性GLUT4mRNA量、ミニジーンGLUT4mRNA量ともに増加していた。しかし、-442のトランスジェニックマウスでは、内因性GLUT4mRNA量が増加していたにもかかわらず、ミニジーンGLUT4mRNA量は変わらなかった。以上の結果より、運動によるGLUT4発現増加に関与するシスエレメントが、-1000と-442の間に存在していることがわかった。現在、-700と-550のトランスジェニックマウスを作成し、さらに狭い領域でのシスエレメントを同定中である。また同時に、ゲルシフト、フットプリントの系も検討中である。
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