1997 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病治療の電撃痙攣処置による海馬セロトニン受容体機能亢進機構の電気生理学的解明
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09770062
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石原 熊寿 広島大学, 医学部, 講師 (20212912)
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Keywords | セロトニン / 5-HT_<1A>受容体 / 5-HT_3受容体 / 電撃痙攣処置 / シナプス伝達 / 海馬スライス / CAl野 / 細胞内記録 |
Research Abstract |
生後4-6週齢のWistar系雄性ラットより作成した海馬スライスを用い、CAl野錐体細胞より細胞内記録を行った。1.内在性物質であるセロトニン(5-HT)を投与すると3種類の異なる反応が記録細胞に誘発された。(1)膜電位の過分極、(2)自発性シナプス後電位頻度の増加(および付随した発火頻度の増加)、(3)膜電位の脱分極、の3つの反応が投与後時間経過をおって観察された。2.膜電位の過分極反応は5-HT受容体サブタイプのうち5-HT_<1A>受容体を介することが知られており、5-HT(30μM)により7.4±0.6mV(n=4)の過分極が得られた。3.2番目に得られるシナプス後電位頻度の増加反応は5-HT_3受容体拮抗薬のLY278,584により拮抗された。また、5-HT_3受容体に選択的なアゴニストの2-Me-5VHTによっても同様の反応が誘発された。このことから5-HTによる自発性シナプス後電位頻度の増加反応は5-HT_3受容体を介していることが明らかとなった。4.反復電撃痙攣処置(ECS)を行ったラットについて5-HTの作用を比較検討した。5。5-HT投与に最初に観察される過分極反応がECS処置をしたラットの海馬CAl野錐体細胞において増大していた。5-HT(30μM)により誘発される過分極は10.0±0.8mV(n=4)で対照のラットよりも有意に大きかった。5-HT_<1A>受容体に選択的なアゴニストの8-OH-DPAT(30μM)による反応もECS処置ラットで7.3±1.3mV(n=3)と対照群の3.0±0.04(n=3)と比較し有意に増大していた。6.このことから電撃痙攣処置療法のうつ病治療効果に5-HT_<1A>受容体機能の亢進が関与していることが示唆された。
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