1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770086
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
阪本 英二 理化学研究所, 細胞生理学研究室, 基礎科学特別研究員 (40291067)
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Keywords | 遺伝病 / 心筋症 / ハムスター / サルコグリカン / ジストロフィン結合タンパク質複合体 / 心筋変性 / 代償性心肥大 |
Research Abstract |
【目的】我々は、肥大型心筋症(HCM)と拡張型心筋症(DCM)が共通の遺伝子異常で発症しうるかを、ヒト遺伝性心筋症の代表的モデル動物である心筋症ハムスターを用いて検証した。【方法】正常ハムスター心筋の四種のsarcoglycan(α-、β-、γ-及びδ-SG^s)cDNAをクローニングした。HCMを呈するBIO14.6及びUMX7.1ハムスター、DCMを呈するTO-2ハムスターの心筋におけるdystrophin-associated glycoprotein complex(DAGC)の発現をイムノブロット及びRNAブロット解析で検討した。正常ハムスターδ-SGのゲノムをクローニングし、HCM及びDCMハムスターでのrestriction fragment length polymorphysmを解析した。四種のSG及び二種のdystroglcan(α-及びβ-DG^s)の細胞内外ドメインをrabbit reticulocyte lysateあるいは大腸菌で発現させ、in vitro pulldown studyを行った。【結果】HCM及びDCMハムスター心筋で、四種のSG蛋白質は全て欠損しており、mRNAはその内δ-SGのみ欠損していた。また、二種のDGは共に激減していた。全ての心筋症ハムスターで、δ-SGの5非翻訳領域をコードする第一エクソンが欠失していた。δ-SGは、289残基のアミノ酸からなる一回膜貫通型の膜蛋白質で、その細胞外ドメンで他の全てのDAGCとの結合が認められた。【総括】HCM及びDCMハムスターは共に、δ-SG遺伝子の第一エクソンの欠失とそれに伴うδ-SG蛋白質の欠損を共有していた。δ-SGの欠損は、二次的にDAGCの崩壊と心筋細胞の変性を起こすと考えられる。DCMを呈するTO-2では、δ-SG以外にも恐らくは心肥大に関与する遺伝子異常の存在が疑われる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Aiji Sakamoto et al.: "Both hypertrophic and dilated cardiomyopathies are caused by mutation of the same gene,S-sarcog'ycan,in hamster:An animal model of disrupted dystrophin-" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 94・25. 13873-13878 (1997)