1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770088
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
赤澤 智宏 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (80291160)
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Keywords | 筋ジストロフィー / 核膜 / 細胞周期 |
Research Abstract |
本年度はエメリ-・ドレフュス型筋ジストロフィーの原因分子エメリンに対する抗体を作成した。ヒト・エメリンのmRNAは様々な臓器で発現していることが知られているが、その蛋白の分布は骨格筋・心筋の核膜だけで観察されている。この発現パターンの乖離を解明するために、抗ヒト・エメリン抗体の特異性、タイタ-を明らかにすることが必須であると考えられる。ヒト・エメリンとGFP(green fluorescent protein)のfusion蛋白を安定に発現するCHO細胞株を樹立し、免疫組織学的、蛋白化学的解析を行って抗体の特異性、タイタ-を評価した。その結果、我々が作成したポリクローナル抗体2種類、モノクローナル抗体1種類のうち、ヒト・エメリンを特異的に認識する抗体はポリクローナル抗体ED1であることが明らかとなった。 この抗体を用いて、Hela細胞の内在性エメリンの細胞内分布の解析を行った。その結果、次のようなことが明らかになった。 1・Hela細胞の細胞周期をthymidine-aphidicholine double block法によって同調させ、エメリンの分布を観察したところ、M期においてエメリンの免疫反応性が細胞質に分散することが明らかになった。 2・細胞分裂に際して消失した核膜がM期の最後に再形成される際、エメリンの免疫反応性はいち早く染色体周囲に集まってくることが観察された。 この抗体を用いて免疫沈降実験を行ったところ、エメリンはHela細胞内でチロシン残基がリン酸化されていることが明らかになった。
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