1997 Fiscal Year Annual Research Report
後期糖化反応生成物による血管内皮細胞・周皮細胞傷害とその機構の解明
Project/Area Number |
09770095
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山岸 昌一 金沢大学, 医学部, 講師 (40281026)
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Keywords | 内皮細胞 / 周皮細胞 / AGE / RAGE / VEGF |
Research Abstract |
1.ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin、以下BSA)をグルコースと無菌的に6週間インキュベートして、advanced glycation endproducts化BSA(AGE-BSA)を調製し、ヘパリンセファロースカラムにて精製した。 2.AGE-BSAを皮膚微小血管内皮細胞に投与したところ、(1)内皮細胞の増殖が有意に促進されることが見い出された。非糖化BSA,Amadori化合物は内皮細胞増殖に影響を与えず、AGE-BSAの増殖促進活性は抗AGE-BSA抗体のみならず抗AGE-RNase A抗体でも同様に消去されたことから、AGEに共通する特異構造が内皮細胞増殖促進活性を有するものと推定された。さらに、(2)内皮細胞のプロスタサイクリン産生がAGEにより阻害される一方、プラスミノーゲンアクチベータ-インヒビター(PAl-1)の産生亢進が引き起こされた。これらのAGE効果はいずれもreceptor for AGE(RAGE)に対するアンチセンスDNAでほぼ完全に抑制されたことから、AGEはRAGEを介して内皮細胞に作用すると推定された。 3.AGEは微小血管内皮細胞の管腔形成を促進した。AGEは内皮細胞における血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor、以下VEGF)遺伝子の発現を誘導し、AGEの内皮細胞増殖・管腔形成促進作用が抗VEGF抗体で中和された。 以上の結果から、AGEは内皮細胞表面に存在するRAGEとの相互作用によりオートクリンVEGFを介して血管新生を誘導する一方、プロスタサイクリン産生を低下させ、PAl-1産生を上昇させることで血栓傾向をもたらし、周皮細胞への作用と相候って糖尿病性細小血管症の発症、進展を促すものと結論づけられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Sho-ichi Yamagishi et al.: "Advanced glycation endproducts-driven angiogenesis in vitro" J.Biol.Chem.272. 8723-30 (1997)
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[Publications] Yasunori Segawa, Yutaka Shirao, Shoichi Yamagishi et al.: "Upregulation of retinal vascular endothelial growth factor mRNAs in spontaneously diabetic rats" Ophthalmic.Res.(in press).
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[Publications] Shoichi Yamagishi et al.: "AGE and endothelial cells." J.Arterioscler.Thromb.(in press).
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[Publications] Shoichi Yamagishi et al.: "Advanced Glycation Endproducts Inhibit Prostacyclin Production and Induce Plasminogen Activator Inhibitor-1 in Human Microvascular Endothelial Cells." Diabetologia. (in press).
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[Publications] 山岸昌一 他: "Advanced Glycation Endproductsの血管新生活性について" 分子糖尿病学. 8. 243-9 (1997)
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[Publications] 山岸昌一 他: "糖尿病と血管新生" Ther.Res.19(2). 59-62 (1998)
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[Publications] 山岸昌一 他: "実験医学増刊号「血管の分子医学その最前線」" 羊土社, 208 (1998)