1997 Fiscal Year Annual Research Report
I型アレルギーによる自己免疫疾患の発症・増悪機作の解明に関する研究
Project/Area Number |
09770097
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日高 洋 大阪大学, 医学部, 助教授 (30243231)
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Keywords | I型アレルギー / アレルギー性鼻炎 / 自己免疫 / バセドウ病 / サイトカイン / IL-5 / 可溶性CD30 / Th2 |
Research Abstract |
ヘルパーT(Th)細胞は、サイトカインの産生様式および担う免疫反応により、2種類のサブセットに分けられる。Th1はIL-2、IFN-γなどによる細胞性免疫、Th2はIL-4、IL-5などによる液性免疫を担っている。自己免疫分野ではそれが主にどちらのサブセットにより引き起こされているかを調べ、さらにはそのサブセットを抑えることによる治療法の開発が進められている。私たち以前、代表的な自己免疫疾患であるバセドウ病がI型アレルギーのなかで最も頻度の高い疾患である(日本人の約20%)アレルギー性鼻炎後に発症・増悪することを明らかにした。I型アレルギーではTh2優位となり、IgE産生や好酸球の活性化をおこすことが分かっており、これらのサイトカインがバセドウ病の病因IgG抗体であるTSHレセプター抗体も産生し、バセドウ病が増悪するのではないかと推定した。これを証明するために本年度は、バセドウ病で本当にTh2が優位になっているかどうかを検討した。バセドウ病患者の甲状腺内リンパ球と末梢血リンパ球で、IFN-γ陽性細胞(Th1)は有意な差は認められなかったが、IL-4陽性細胞(Th2細胞)は、バセドウ病患者の甲状腺内リンパ球において末梢血リンパ球に比べて有意に増加しており、局所の甲状腺で抗体産生を促すTh2が増加していることが明らかになった。さらに、バセドウ病患者の末梢血においてもTh2細胞が分泌するサイトカインであるIL-5およびTh2細胞表面に存在し、加水分解により血中に出てくる可溶性CD30が共に健常者に比べ増加していることを証明した。以上のことより、I型アレルギーに限らず、Th1細胞からTh2細胞にシフトさせるような状況はバセドウ病を発症・増悪させるものと考えられる。また、Th2細胞からTh1細胞にシフトさせるような治療法が、バセドウ病において効果的であると思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Motoshi Okumura: "Increased serum concentration of soluble CD30 in patients with Graves′ disease and Hashimoto′s thyroiditis." Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 82・6. 1757-1760 (1997)
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[Publications] Maria Elena Fisfalen: "Thyrotropin-receptor and thyroid peroxidase-specific T cell clones and their cytokine profile in autoimmune thyroid disease." Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 82・11. 3655-3663 (1997)
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[Publications] Takashi Iijima: "Effects of autoantibodies on the course of pregnancy and fetal growth." Obstetrics and Gynecology. 90・3. 364-369 (1997)
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[Publications] Mikio Watanabe: "Changes in T,B,and NK lymphocyte subsets during and after normal pregnancy." American Journal of Reproducrive Immunology. 37・5. 368-377 (1997)
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[Publications] Yuki Shimaoka: "Serum concentration of soluble Fas in patients with autoimmune thyroid diseases." Thyroid. 8・1. 43-47 (1998)
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[Publications] Yoh Hidaka: "Increased serum concentration of interleukin-5 in patients with Graves′ disease and Hashimoto′s thyroiditis." Thyroid. 8(印刷中). (1998)