1998 Fiscal Year Annual Research Report
胃腸管間質腫瘍(GIST)の由来組織に関する病理組織学的研究
Project/Area Number |
09770111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 剛 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40223002)
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Keywords | 胃腸管間質腫瘍 / 平滑筋性腫瘍 / 免疫組織化学 / CD34 / CD117 / bcl-2 |
Research Abstract |
食道、胃、小腸、大腸の菲上皮性腫瘍106例を臨床病理学的、病理組織学的、免疫組織化学的、電子顕微鏡的に検討した。組織学的に狭義の胃腸管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumor;GIST)は73例、平滑筋性腫瘍は29例、神経鞘腫は4例であった。その結果、食道発生の非上皮性腫瘍はほとんどが平滑筋性腫瘍でQISTは少なく、逆に胃、小腸ではGISTが多く、平滑筋性腫瘍は少ないという、特徴的な解剖学的分布をしていた。GISTは、さまざまな組織パターンを呈するものの、鍍銀染色などを用いれば通常の光顕的観察でかなりの症例において平滑筋腫瘍と鑑別可能と考えられた。また、GISTは免疫組織化学的に特徴ある表現型を示していた。すなわち、ビメンチン、CD34、bcl-2、CD117(c-kit)が高率に陽性で、筋原性マーカー(デスミン、筋特異性アクチン、平滑筋特異性アクチン)や神経性マーカー(S-100蛋白、ニューロフィラメント、GFAP、NSE、シナプトフィジン、Leu7)は多くの症例で陰性であった。したがって、GISTは平滑筋性腫瘍や神経鞘腫とは異なる独立した腫瘍(群)と考えられた。このことは電顕的検察からも裏づけらた。さらにこれらのマーカーを用いれば鑑別は容易であると判断された。GISTの由来組織については、CD117の発現が消化管のカハールの介在細胞に見られるとの報告があり、本研究の結果はこれを支持するものであった。しかしながら、免疫電顕的検討では十分な結果が得られず、検索方法の改善が望まれた。ret遺伝子産物の発現は認められなかったので、ret遺伝子はGISTの発生、増殖において重要な働きをしていないものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 高澤豊,他: "ヒト消化管間質腫瘍の免疫組織化学的検討" 日本癌学会総会記事. 89巻. 622 (1998)
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[Publications] Tomozawa S.,et al.: "A schwannoma of the cecum:Cace report and review of Japanese schwannomas in the large intestine." J.Gastroenterol. vol.33. 872-875 (1998)