1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチ合併アミロイドーシスにおけるSAA遺伝子の分子疫学と分子病理
Project/Area Number |
09770119
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
馬場 聡 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (10242760)
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Keywords | アミロイドーシス / 慢性関節リウマチ / 血清アミロイドA(SAA) / DNA多型 / 疫学 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
さきに申請者らが発見したSAA1γがAA-アミロイドーシスの危険因子であることが疫学的により確かとなった。さらにSAA1遺伝子分布の民族差から、SAA1γが日本人や中国人にとって重要な因子であることが示唆された。 1.SAA遺伝子多型の人種差 SAA1の対立遺伝子の頻度は、日本人(α32%、β31%、γ37% ; n=103)とオーストラリア白人(α73%、β23%、γ4% ; n=150)とで大きく異なることを見い出していたが、今回調べた中国人(東北部)では(α37%、β16%、γ47% ; n=100)と、SAA1γは日本人よりも高頻度であることが判った。SAA2の2種類の対立遺伝子は、日本人(α85%、β15%)、オーストラリア白人(α86%、β14%)に対し、中国人(東北部)(α97%、β3%)であった。 2.アミロイドーシスとSAA遺伝子多型 SSA1 遺伝子多型は、健常者群もしくはRA一般群とアミロイド群との間で、対立遺伝子および遺伝子型頻度ともに明らかな有意差を認め、SAA1γがアミロイドーシス発症の重要な危険因子であることを示してきた。今回、これまでとは別の札幌の在住のRA患者一般群(n=98)およびアミロイド群(n=22)についても同様に調査し、やはりアミロイド群でSAA1γが高頻度であるというデータが得られ、これまでの仮説の再確認ができた。SAA2も同様に比較したが、やはり有意差は見られなかった。 3.トランスジェニックマウス ヒトSAA1α cDNAをもとに部位特異的突然変異導入によりSAA1βおよびSAA1γ cDNAを作製した。このcDNAをウサギβ-globin遺伝子(部分)に挿入してミニ遺伝子を構成し、さらにマウスサイトメガロウイルスIE遺伝子エンハンサー/プロモーターの下流に配置して、導入遺伝子を作製した。現在、培養細胞を用いて導入遺伝子の発現の確認と、スクリーニングのためのアッセイ系の準備を進めている。また、in vitro実験に備えて、組み換えタンパク作製のためのDNAコンストラクトを作製中である。
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