1997 Fiscal Year Annual Research Report
cyclin D1過剰発現リンパ腫の分子病理学的解析と臨床病態の解明
Project/Area Number |
09770137
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
谷田部 恭 愛知県がんセンター, 研究所, 研究員 (90280809)
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Keywords | cyclin D / non-Hodgkin's lymphoma / prognosis |
Research Abstract |
リンパ球増殖性疾患におけるcyclin D1過剰発現:513例のリンパ球増殖性疾患において検索した結果cyclin D1過剰発現は136例で観察された。この過剰発現は少数例の慢性リンパ球性白血病や形質細胞骨髄腫にも観察されるが、94%はマントル細胞リンパ腫の組織像を示した。しかしながら、組織学的にマントル細胞リンパ腫と診断された症例の15%ではcyclin D1の過剰発現は認められなかった。すなわち、臨床病理学的な疾患単位であるマントル細胞リンパ腫が、分子病理学的な特徴であるcyclin D1により過剰発現群と非過剰発現群の2群に分類し得ることが判明した。臨牀病態の解明:1.病理学的検討 組織学的諸因子を検討したが、両者を区別することは不可能であった。また、CD5やCD23など鑑別に有用とされるマーカーにおいてもその発現に有意差はなかった。2.臨床的検討 両群ともに高齢者、男性優位で、進行病期にて発症する傾向があった。PS,LDH値は正常範囲内が多いにもかかわらず、それぞれ68%59%に節外臓器浸潤が観察された。。3.予後因子解析 施行された治療法や臨床病期、国際予後因子に大差なのにかかわらず、両群の生存率の推移は明らかに異なっていた。非過剰発現群は1例の他病死を除きすべての症例が生存中であったのに対し、過剰発現群においては中央無病期間2.8年、中央生存率3.5年と治療抵抗性の結果を示した。また、単変量解析では、国際予後因子、臨床病期、治療反応性、核分裂像およびcyclin D1過剰発現の有無が有意でり、これらの因子を含めた多変量解析ではcyclin D1過剰発現がもっとも有意な予後因子であった(p<0.05)。これらのことは、臨床病理学的に区別は困難であるが、明らかな予後の差が存在することから臨床的な対応が異なるべき疾患として認識されるべきと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Mori N,Yatabe Y,: "Immunohistochemical study of necrotizing lymphadenitis." Pathol.Int.47. 31-37 (1997)
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[Publications] Masuda A,Yatabe Y,: "Establishment of human epithelial lung cell lines,・・・" Cancer Res.57. 4898-4904 (1997)
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[Publications] Suzuki R,Yatabe Y,: "CD7^+ and CD56^+ myeloid/natural killer cell precursor acute・・・" Blood. 90. 2417-2428 (1997)
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[Publications] Nakamura N,Yatabe Y,: "Lymphoblastic lymphoma expressing CD56 and TdT." Am J Surg Pathol. 22. 135-137 (1997)
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[Publications] Yatabe Y,Masuda A,: "p27^<KIPl> in human lung cancers : differential changes in ・・・" Cancer Res.58. (1998)
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[Publications] Yatabe Y,Nakamura S,: "Multiple polypoid lesions of primary mucosa-associated lymphoid・・・" Histopathol. 31. (1998)