1997 Fiscal Year Annual Research Report
発現調節可能な系によるがん抑制遺伝子p53とRBの機能とその作用機構の解析
Project/Area Number |
09770139
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大川 恵三 弘前大学, 医学部, 助手 (70250206)
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Keywords | がん抑制遺伝子 / p53遺伝子 / RB遺伝子 / p21遺伝子 / E2F1遺伝子 / 細胞周期 / アポトーシス / がん |
Research Abstract |
p53遺伝子発現がテトラサイクリン(Tc)でon-off可能なベクターシステムを導入した肺小細胞がん細胞株NCI-N417で、p53のアポトーシスと細胞周期でのG1/G0期抑制の誘導能について、Tc濃度の調節でp53発現量を変え、量依存性をflow cytometryで解析した。p53高発現では速やかにアポトーシスが誘導され、低発現では細胞周期G1期での停止後にアポトーシスが起こっていた。p53で発現誘導されるp21蛋白はp53低発現でも検出されたので、同じベクター系でp21発現誘導細胞を単離し、p21のアポトーシスの誘導能を解析した。その結果、p21ではG1期での停止のみが認められた。次に、アポトーシスに関与するBc1-2とBaxの発現変化を解析した。p53高発現では、Bc1-2の発現が低下したが、Baxには変化がなかった。従って、肺小細胞がんではアポトーシスとG1期での停止はp53の発現量に依存すること、G1期での停止にはp21の発現誘導が関わること、p53高発現によるアポトーシスの誘導にはBc1-2に対するBaxの相対的量が重要なことなどが考えられた。一方、骨肉腫細胞株Saos-2では、p53高発現はアポトーシスを起こすが、低発現ではG1とG2/M期での抑制のみで、アポトーシスは誘導されず、肺小細胞がんとは異なっていた。 また、細胞周期調節に密接に関わる転写因子E2F1のp53とRBによる発現変化を、骨肉腫細胞で解析した。RBの発現ではmRNAも蛋白も減少した。p53では逆に蛋白は増加したが、mRNAの増加はなかった。p53のE2F1増加作用はp21の発現と相関したため、同じベクター系でp21発現誘導細胞を単離し解析した。p21はp53と同様に細胞周期をG1とG2/M期で停止させ、E2F1の変化もp53と同様であった。従って、細胞周期抑制機構について、RBはE2F1との結合のみならず発現調節によっても作用し、p53は別の経路でも作用すると考えられた。現在更に、他のRB familyの発現、E2F1蛋白の半減期や転写活性を解析中である。
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Research Products
(1 results)