1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト正常乳腺上皮,乳癌におけるc-kitがん遺伝子/産物の機能解析
Project/Area Number |
09770156
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
津浦 幸夫 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (80244375)
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Keywords | c-kitがん遺伝子 / 産物 / 正常乳腺 / 乳腺増殖性病変 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
女性正常乳腺と良性増殖性病変にc-kit mRNAとその産物が恒常的に発現するが、良悪性境界病変以上で発現が抑制されることが既に明らかである。これより、c-kit癌遺伝子とその産物の消失が、女性乳腺上皮の悪性変化の早期に関与する可能性が示唆されるが実際の遺伝子の機能は未だ不明であり、また男性の乳腺増殖性病変における発現に関しても不明である。 平成9年度は、機能解析実験のための細胞株の選択、培養条件の確立とそれぞれの細胞の発現する分子を把握するとともに、男性乳腺増殖性病変におけるc-kitの発現に関しても検討した。選択した細胞株は、ヒト正常乳腺上皮由来細胞株(HBL-100)、ヒト乳癌細胞株(ZR75-30,MCF7)である。免疫細胞化学的検索によるとc-kit産物は、HBL-100には認められず、MCF-7,ZR75-30に認められた。また、男性乳腺増殖性病変におけるc-kit産物の免疫組織化学的発現を検討したところ、正常乳管、女性化乳房と共に浸潤癌にもその発現を認めた。培養細胞株においてc-kit産物が女性外科材料における発現パターンと逆のパターンを示し、男性乳癌でc-kit産物が発現することから、c-kit遺伝子の機能の多様性が示唆された。10年度は、c-kit cDNAのHBL-100へのtransfectionあるいはMCF-7,ZR75-30のアンチセンスによるc-kit mRNAの発現制御などの分子生物学的手法を用いてc-kit遺伝子の機能解析に移る予定である。
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