1997 Fiscal Year Annual Research Report
離乳期乳腺における特異な細胞死"magentosis"の本態とその発生機序の解明ー動物実験モデルの作製とその応用ー
Project/Area Number |
09770160
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
梅村 しのぶ 東海大学, 医学部, 助手 (20276794)
|
Keywords | "magentosis" / experimental model / rat mammary gland / pregnant and lactating / apoptosis |
Research Abstract |
われわれは、ヒト授乳期乳腺退縮早期に出現する、apoptosisとは異なる形態学的特徴を示す細胞死の存在を指摘してきた。この細胞核は、Hematoxylin-Eosin染色にて均一無構造な核質を有し、Periodicacid-Schiff(PAS)陽性反応(magenta色)を示す。われわれはこの細胞死を"magentosis"と称し、人体材料の組織化学的検討により、"magentosis"は、apoptosisとは異なる出現時期、形態学的特徴を示すこと、断片化DNAを指摘するTdT-mediated dUTP-biotin nick end endlabeling(TUNEL)法陰性であること、single-stranded(ss)DNAの核内貯留と、核内DNAのnickの存在を証明してきた。しかし、PAS陽性反応をもたらすDNAの具体的な構造変化の解明にはいまだ至っていない。"magentosis"の本態と発生機序解明のため動物実験モデル作製を目的とし、ラットの正常妊娠、授乳、離乳期乳腺の組織像を経時的に観察した。 a.各時期(非妊娠期、妊娠各期、分娩直前、授乳各期、離乳各期)のウイスター雌ラット成獣をエーテル麻酔下にて屠殺、乳腺組織を採取し、10%formalin、4%paraformaldehyde(PFA)固定、パラフィン包理材料を作製、HE、PAS染色組織像を観察した。"magentosis"と鑑別を要するPAS陽性球状物質として、casein、lysozymeが指摘され、それぞれ、電子顕微鏡的に鑑別が可能であった。正常非妊娠、妊娠、授乳、離乳期乳腺においては、"magentosis"は、観察されなかった。 b.ラット乳腺においては、アポトーシスは、離乳後4日頃に数多く認められ、10日頃には減少、細胞数の減少乳腺組織の退縮が明らかとなった。また、授乳18日頃より、上皮細胞の壊死様変化も認められた。 以上、生理的ホルモン変動条件下においては"magentosis"は観察されず、現在、estrogen投与、ovarectomyラット乳腺にて、さらに検討中である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] S.umemura,et al: "Cell renewall and functional morphology of human lactating breast." Pathology International. 46. 105-121 (1996)
-
[Publications] S.Umemura,et al: ""Magentosis"in human lactating breast." Pathology International. 46. 122-129 (1996)
-
[Publications] S.Umemura,et al: "Presentation of indented acini in rat lcatating breast." Microscopy and Microanalysis. 3. 251-252 (1997)