1997 Fiscal Year Annual Research Report
正常p53cDNAによる大腸癌形質抑制に関与する遺伝子群の単離、同定と機能解析
Project/Area Number |
09770164
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
矢ノ下 玲 (財)東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究部門, 研究員 (00224915)
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Keywords | 正常p53cDNA / ヒト大腸癌抑制 / 遺伝子発現変化 / differential display |
Research Abstract |
正常p53遺伝子が癌抑制活性を発現する際には種々の遺伝子発現も変化すると予想されるがその詳細はまだ解明されていない。正常p53cDNAをヒト培養大腸癌細胞に導入して癌形質が抑制された細胞を既に得ており、この癌形質抑制に伴い発現が変化した遺伝子群を同定することは正常p53遺伝子の癌抑制機構の解明に重要と思われる。これまでに元の大腸癌細胞(COKFu)と癌形質抑制細胞(N-p53/CMV C1.1)の間でdifferential display法によりmRNA発現量を解析し、強度に差が見られたcDNAフラグメントをプローブとしたノーザンブロットを行い、元の大腸癌細胞のmRNAとより強くハイブリダイズするもの、癌形質抑制細胞のmRNAとより強くハイブリダイズするものを数種ずつ得ている。これらはそれぞれ正常p53により発現が低下する遺伝子群と増加する遺伝子群を反映している。これらのクローンは塩基対数は同じであるが配列が異なる複数のcDNAフラグメントを含んでいる可能性が考えられる。そこでこれらのフラグメントを再増幅しpCR IIベクターにクローニングした後、シークエンスを決定し既知の遺伝子とのホモロジーを解析した。その結果、癌形質抑制細胞では発現しているが元の癌細胞では発現していない1つのクローンのシークエンスがヒト細胞間接着関連遺伝子の3´noncoding領域の一部と一致していた。このクローンを用いて癌形質抑制細胞のcDNAライブラリをスクリーニングし、この遺伝子のcoding領域を含むクローンを単離し、ノーザンブロットにより癌形質抑制に伴って発現することを確認した。他のクローンについては、高いホモロジーを示すような既知遺伝子はこれまでに見出されなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Miyaki,M.: "Germline mutation of MSH6 as the cause of hereditary nonpolyposis colorectal cancer." Nature Genet.17. 271-272 (1997)
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[Publications] Miyaki,M: "Drastic genetic instability of tumors and normal tissues in Turcot syndrome." Oncogene. 15. 2877-2881 (1997)
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[Publications] Chong,J-M.: "Expression of CD44 variants in gastric carcinoma with or without Epstein-Barr virus." Int.J.Cancer. 74. 450-454 (1997)
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[Publications] Miyaki,M.: "Differences in characteristics of colon tumors between HNPCC,familial polyposis and sporadic cases." Recent Adv.Gastroenterol.Carcinogenesis. I. 745-748 (1997)
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[Publications] Muraoka,M.: "Analysis of p300 gene and NF2 gene alterations in colorectal tumors." Recent Adv.Gastroenterol.Carcinogenesis. I. 761-764 (1997)