1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770207
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
飯塚 成志 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (30222821)
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Keywords | 酵母 / インフルエンザ / 発現 / RNA / 転写 / 複製 |
Research Abstract |
本年度はインフルエンザウイルスの宿主因子の解析、およびRNAレプリコンの複製過程の解析を目指し、このウイルスの転写反応を酵母細胞内で再現することを試みた。 内在性のRNAウイルスLA,Mをもたない酵母株MBS(MATa,his3,leu2,trp1,ura3,ade2,can1,L-o,M-o)に対し、鋳型RNA相補鎖遺伝子、誘導可能なT7RNAポリメラーゼ遺伝子、ワクチニアウイルス由来2'-O-methyltransferase遺伝子を染色体のaurl領域に組み込んだ酵母株を作製した。鋳型RNA相補鎖遺伝子はT7RNAポリメラーゼの誘導的発現により、インフルエンザウイルスプロモーター領域にはさまれたルシフェラーゼ遺伝子の相補鎖を発現する構造となっている。一方インフルエンザウイルスの複製蛋白質であるPA、PB1、PB2、およびRNA結合蛋白質NPの遺伝子を各々プラスミドベクターに誘導可能なプロモーターの支配下に組み込んだ。さまざまな組み合わせでこれらプラスミドを上記酵母株に導入し、蛋白質の発現誘導を行う前後でのルシフェラーゼ活性の変化を調べ、転写反応が起こっているかどうかを調べた。 4つの複製蛋白質を発現させた場合、15株中1株について、誘導条件下約400倍のルシフェラーゼ活性の上昇がみられた。このような強い発現誘導は現在のところ4つの複製蛋白質すべてが存在している場合にのみ観察された。この酵母株の細胞抽出液を調製し、素精製したRNPを用いて、GTPの付加反応とRNA合成の伸長反応が確認できた。従ってインフルエンザウイルス転写反応が起こっていることが強く示唆される。 今後は酵母内でのウイルスゲノム複製反応再現に焦点を当てる。一方上記システムを利用して、宿主因子である高等動物の2'-O-methyltransferaseのクローニングを行う方法を検討中である。
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