1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病モデルマウスを用いた老化による膵β細胞機能不全の解明と予防
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09770232
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
嘉陽 毅 秋田大学, 医学部, 講師 (40272033)
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Keywords | 糖尿病マウス / 遺伝子座Mody |
Research Abstract |
(背景)我々は、ヒトMODYの臨床所見に類似する糖尿病モデルマウスを確立した。その成因遺伝子座はマウス染色体7番に存在し、Modyと命名した。本マウスの糖尿病は、膵β細胞の機能不全に関係している。 (目的) Mody遺伝子座のへテロ、ホモ接合体マウスを用いて、 1)詳細なMody遺伝子座の検索 2)Modyの機能解析(dosage effects)を検討する。 (方法)1) へテロ、ホモ接合体マウスの作成および遺伝解析:ヘテロ接合体マウス同士をintercrossしてF2を120匹作成する。血糖の量的形質による連鎖解析(QTL)を用いて、遺伝子座の位置を詳細に検討する。 2) 膵ランゲルハンス氏島細胞の形態観察:インスリン、グルカゴン染色および電子顕微鏡による検討を行う。 (結果および考察)1) QTLによる解析の結果、Mody遺伝子座はマウス染色体D7Mit258(72.4cM)と強く連鎖していることがわかった。 2) ホモ接合体マウスはへテロに比べて、短命で雄、雌ともに2〜3か月以内に死亡する。また、発症前においてホモ接合体マウスの膵ラ氏島細胞におけるインスリン含量は極めて少ない。また、ヘテロ、ホモともに粗面小胞体(ER)の拡大およびミトコンドリアの膨張、分泌顆粒の顕著な減少がみられた。これらは膵β細胞の機能不全として特徴的である。 最近、共同研究者の泉らによりMody遺伝子がInsulin2の点変異Cys96(TGC)→Tyr(TAc)であることが明らかになった。この特異的な変異により、プロインスリンが分泌顆粒で濃縮できず、ER stressによる膵β細胞の機能不全がおこる。今後、Mody遺伝子の解析により、ER stressのメカニズムの解明が進むことになる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Kayo,A.Koizumi: "Mapping of the murine Diabetogenic Gene Mody on Chromosome 7 at D7Mit258 and Its Involvement in pancreatic Islet and beta cell development durinthePerinatal Period" Journal of Clinical Investigation. 101. 2112-2118 (1998)
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[Publications] J.Wang,T.Takeuchi,S.Tanaka,S.Kubo,T.Kayo,D.Lu,K.Takata,: "A mutation in the insulin 2 gene induces diabetes with severe pancreatic beta cell dysfunction in the Mody mouse" Journal of Clinical Investigation. 103. 27-37 (1999)
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[Publications] 小泉昭夫、嘉陽毅、長谷山俊之: "分子糖尿病学の進歩 1999 In press" 金原出版, (1999)