1997 Fiscal Year Annual Research Report
心拍変動解析法を用いた交代制勤務者の自律神経症状出現の病理生理の解明に関する研究
Project/Area Number |
09770233
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松崎 一葉 筑波大学, 社会医学系, 講師 (10229453)
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Keywords | 交代性勤務 / 心拍変動解析法 / 自律神経症状 / OSA質問票 / 自覚症状しらべ / 適応 |
Research Abstract |
工場に勤務する3交代制の男性勤務者9名を対象に調査を施行した。日勤の第3日目と夜勤の第2日目・第4日目の計3回、携帯型自動血圧・心拍計を用いて24時間血圧・心拍を30分毎に測定した。RR間隔データから求められた自己相関関数のフーリエ変換から周波数パワースペクトルを求め低周波成分[LF]、高周波成分[HF]とした。HF値を副交感神経機能の、LF/HF値を交感神経機能の指標とし睡眠中の自律神経機能の経時的変化を観察して昼夜逆転生活への適応過程を検討した。同時に主観的睡眠感の指標としてOSA睡眠調査と自覚症状調査を施行した。その結果、睡眠中の平均HF値は昼勤シフトで最も高く夜勤シフト2日目で低下し同4日目には再び上昇していた。LF/HF値、平均血圧にはほとんど変化がみられなかった。OSA総合得点は昼勤シフトで比較的高く夜勤シフト2日目で低下し同4日目には再び上昇していた。自覚症状は昼勤シフト時に比して夜勤シフト時の方が訴えが多く、その中でも特に身体的症状に関する訴えが多かった。つまり日勤シフトから夜勤シフトへ移行した直後の昼間睡眠では、主観的にも十分な睡眠がとれていないが夜勤シフト4日目には主観的睡眠感も回復し、副交感神経機能も同様の変化を示した。従来から、交代制勤務においては様々な身体的不定愁訴が出現しやすいと報告されてきたが、今回の睡眠中の副交感神経機能に関する結果はそれらの出現機構を説明するものとなる可能性があり、さらに個人的性格要因や家庭環境、職場でのストレスなどについても今後検討を加えていく必要があると考えられた。
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