1997 Fiscal Year Annual Research Report
Endocrine disruptorと雄性生殖毒性物質の複合影響に関する研究
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09770235
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大村 実 九州大学, 医学部, 助手 (50243936)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 雄性生殖毒性物質 / 複合影響 / 2-ブロモプロバン / 有機スズ化合物 / 胎内曝露 / ラット |
Research Abstract |
1.2-bromopropaneの雄性生殖毒性の発現機序に関する実験:2-bromopropane(2-BP)が,内分泌撹乱物質との混合曝露でその複合影響を見るために投与する雄性生殖毒性物質として妥当かどうかを検討するため,その雄性生殖毒性の発現機序について検討を行った.2-BP 1,355mg/kgを雄ラットの皮下に1〜5日間投与し,各最終投与直後の精巣の病理組織所見を詳しく評価した.2-BPの単回投与でステージ1精細管の精祖細胞数の減少が認められ,その他のステージの精細管の精祖細胞数も投与回数が増すに従って減少した.精祖細胞以外の生殖細胞の数には明らかな減少が認められなかったことから,2-BPの精巣における標的細胞は精祖細胞であることが確かめられた.また,2-BP投与ラットでは精祖細胞の細胞分裂の遅延を示す病理組織所見が多くの精細管で観察された.以上の結果から,(1)アルキル化剤である2-BPによるDNAの合成障害→(2)DNA修復機構の発現→(3)DNAの合成遅延→(4)細胞分裂の時期が遅れるため,本来は分裂後の細胞が観察されるはずの精細管で細胞数が減少,が2-BPによる精祖細胞数の減少の機序として推定された.以前に我々が行った実験(J Occup Health 1997;39:234-239)および今回の実験の結果から,2-BP 1,355mg/kgのラットへの皮下投与では精巣の精祖細胞のみが障害されることが確かめられており,内分泌撹乱物質との混合曝露による雄性生殖毒性の増強・軽減を評価するのに2-BPは適当であると判断された. 2.内分泌撹乱物質と雄性生殖毒性物質の混合曝露実験:内分泌撹乱物質である有機スズ化合物を妊娠メスラットに投与し,その雄仔ラットに2-BPを投与した場合の2-BPの雄性生殖毒性の修飾を調べる動物実験の実施を,現在申請中である.
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