1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770244
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
阪本 尚正 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50289071)
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Keywords | ビタミンK / 欠乏 / 食餌 / ラット / ヒト / 栄養 / 食事調査 / 四訂食品成分表 |
Research Abstract |
食餌由来のビタミンKの栄養医学的意義を検討するため、慢性的低ビタミンK摂取状態のラットモデルを作成し、その生体機能の変化を、対照ラットと比較した。 5週齢SD系ラットを2群に分け、対照群には米国栄養協会推奨の配合飼料AIN93Gを、低ビタミンK摂取群にはビタミンK無添加AIN93G(ビタミンK1量1/5 以下)をそれぞれ6週間摂取させ、2週間ごとに24時間尿を採取し、尿中クレアチニン、カルシウム、無機リン、マグネシウム量を測定し、その経時的変化を検討した。6週間後採血し、血液生化学検査、血液凝固検査を行なった。また、肝臓、膵臓内ビタミンK濃度を測定した。その結果、長期の低ビタミンK摂取状態が組織内のビタミンK濃度を低下させると共に、血中無機リン濃度を低下させ、尿中へのクレアチニン、マグネシウムの排泄量を増加させ、カルシウムの尿中排泄率を上昇させることが示唆された。 また、ヒトにおけるビタミンK摂取状態を調査するため、四訂食品成分表を用い、若年男女におけるビタミンK(K1)摂取状況を調査した。複数の教育機関に在籍する、健康な若年男性182名女性203名について、四訂食品成分表に記載されたK1含有量の比較的高い(K1含有量5μg/100g以上)食品52品目につき、その摂取状況を1週間にわたり自記させた。その結果、体重1kgあたり一日K1摂取量は、男性は、女性に比べ有意にK1の摂取が少なかった。穀類、肉類、藻類、嗜好品類からの平均K1摂取量は、男性が女性よりも高かったが、K1含量の多い野菜類、調味料類からの摂取量は、女性のほうが高かった。また、男女別のBody Mass IndexとK1摂取量との相関では、女性のほうがより強い有意な負の相関を示した。下宿者、女性の栄養バランスに注意していない群、男性の出血傾向を示す群、骨折しやすく、齲歯の多い群はK1の摂取量が少ない傾向にあった。 平成9年度の科学研究費助成により、ビタミンK測定環境の整備が順調におこなわれつつある。この結果、次年度には、さらに有意義な知見がえられる事が期待される。
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