1997 Fiscal Year Annual Research Report
一般健康職域集団におけるうつ状態と自殺に関する前向き疫究
Project/Area Number |
09770256
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉腰 暁子 名古屋大学, 医学部, 講師 (90236737)
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Keywords | うつ状態 / SDS / 自殺 / 前向き疫学調査 / 職域集団 / 睡眠障害 |
Research Abstract |
[対象と方法]某事業所で1989年に実施した健康と生活習慣に関する自記式問診票調査に回答し、追跡可能な職員のうち40-54歳の13,294名を対象としたコホート調査を実施した。生活習慣として主にとりあげたのは、喫煙・飲酒習慣、仕事内容、生活態度、うつ状態などである。生活態度としては生きがいや生活のはり、立腹の程度などを、うつ状態としてはZungのSDS20項目より特に職場で働くものに関連すると考えられる12項目が利用可能であった。在職中の死亡年月日、死因は提出される死亡診断書より把握、退職は退職者名簿を用い、退職年月日を調査した。 死亡・退職とも当該事業所の健康管理責任者の了解と指導のもとに個人名を伏した形で入手し、職員番号により1989年問診票データとリンケージした。観察は1995年3月31日まで実施し、退職者は退職時点で打ち切り例として扱った。解析は名古屋大学大型計算機の汎用統計パッケージSAS中のCoxの比例ハザードモデルを用い、性・年齢調整後の各種要因の自殺危険度を推定した。 [結果]95年3月31日までの約5年間に観察対象者から847例の退職、92例の死亡(うち自殺11例)が発生した。うつ状態:ZungのSDS12項目中10項目で有意な自殺リスクの上昇が観察された。12項目の合計点によるうつ総合点が上位20パーセンタイル値のものはそれ以下のものに比較し、約5倍自殺しやすかった。睡眠時間:1日の睡眠時間が9時間以上のものは、それ以下のものにくらべ、自殺発生率が有意に高かった。 [来年度の予定]本年度はデータの入力作業を完了し、単要因(性・年齢のみ調整)の自殺危険度の推定を行った。今度、さらに詳細な検討を行い、一般に健康な社会生活を営んでいる集団における自殺者の発生要因に関する検討を進める予定である。
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