1997 Fiscal Year Annual Research Report
症例対照研究によるIgA腎症リスクファクターの検討.
Project/Area Number |
09770258
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若井 健志 名古屋大学, 医学部, 助手 (50270989)
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Keywords | IgA腎症 / 症例対照研究 / 危険因子 / 家族歴 / 脂肪酸 |
Research Abstract |
IgA腎症の危険因子を明らかにするために、東海地区で症例対照研究を実施した。症例は1993年から96年までに参加16施設で腎生検により同症と新たに診断され、診断時年齢が20歳以上であった患者である。症例1例につき、性・年齢(±2歳)・居住地(同一小選挙区)のマッチした対照2例を一般住民から無作為に抽出した。疫学情報については自記式問診票を用いて収集し、対照予定者の回答率は68.8%であった。 症例94例(平均年齢±SD:男性38.0±12.4歳、女性39.6±13.5歳)、対照185例にもとづく解析から、以下の危険因子が示唆された。(1)慢性腎炎家族歴(オッズ比4.80)、(2)かぜの頻回罹患(trend p=0.077)、(3)糖尿病既往歴(オッズ比3.33)、(4)塩からいもの好み(オッズ比4.73-「大好き」・「好き」vs.「嫌い」・「大嫌い」)、(5)生卵の頻回摂取(オッズ比4.11-週5回以上vs.週1回以下)、(6)米飯の多量摂取(オッズ比2.67-1日400g以上vs.300g未満)、(7)炭水化物の多量摂取(trend p=0.O08)。一方、(1)飲酒(オッズ比0.42-日本酒換算1日1合以上vs.非飲酒または禁酒)、(2)抗酸化ビタミン剤(ビタミンA,C,Eおよびべ一夕カロチン)の服用(オッズ比O.19)、(3)蛋白質・脂質・MUFA・PUFA(全体およびn-3PUFA)の多量摂取(trend p:蛋白質0.007、脂質0.028、MUFA0.091、PUFA0.062、n-3PUFA0.061)は、IgA腎症のリスク低下と関連していた。扁桃炎既往歴および有機溶剤への曝露については、リスクの上昇または低下と関連を示さなかった。これらの要因をさらに検討するため、より詳細な研究を次年度実施予定である。
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