1998 Fiscal Year Annual Research Report
ニューキノロン系薬剤耐性結核菌の遺伝子変異と迅速検出法の開発
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09770293
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
田丸 亜貴 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 研究員 (70270767)
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Keywords | 結核菌 / ニューキノロン系薬剤 / オフロキサシン / gyrA / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、オフロキサシン(OFLX)耐性とDNA gyrase Aサブユニットをコードする遺伝子(gyrA)の変異の関係を明らかにするため、OFLX耐性結核菌臨床分離株3株(MIC≧2.0μg/ml)と感受性株18株についてgyrAの配列を調査した。OFLX耐性株では、全ての菌株のgyrAに1箇所または2箇所の変異がみられた。変異の部位は、23株中16株がコドン94、6株がコドン90、1株がコドン91であった。変異の種類は、コドン90とコドン91ではそれそれ1種類(Ala-90→Val、Ser-91→Pro)、コドン94では5種類(Asp-95→Val、Asn,.Gly..Ala、Tyr)であった。耐性株3株のOFLXに対するMICは2.0〜16μg/ml以上に分布していたが、MIC値と変異の部位や種類には相関は認められなかった。OFLX耐性株3株中18株でコドン95にも1種類の変異(Ser-95→Thr)がみられたが、この変異はOFLX感受性株でも18株中17株にみられた。また、この変異の有無とOFLXに対するMIC値や他の抗結核薬に対する耐性に相関は認められなかった。したがって、コドン95での変異は結核菌臨床分離株に高率に認められるが耐性に関与しない変異であり、コドン90、91、94での変異がOFLX耐性に伴うものと考えられた。これらの変異の迅速検出法については、PCR-RFLP法やSSCP等を現在検討中である。 持続排菌結核患者の治療にはニューキノロン系薬剤が使用されることがあり、治療中の耐性化が問題となる。現在、ニューキノロン系薬剤投与および非投与の持続排菌患者19名から採取した結核菌株45株について、OFLXに対するMIC測定とgyrA変異の検出を行い、ニューキノロン系薬剤投与期間と耐性化の関係を調査しているところである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yasuhiko Suzuki: "Detection of kanamycin-resistant Mycobacterium tubercuiosis by identifying mutation in the 16S rRNA gene." Journal of Clinical Microbiology. 35・5. 1220-1225 (1998)
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[Publications] Chihiro Katsukawa: "Chracterization of the rpsL and rrs genes of streptomycin-resistant clinical isolates of Mycobacterium tuberculosis in Japan." Journal of Applied Microbiology. 83. 634-640 (1997)
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[Publications] 鈴木定彦: "結核菌の薬剤耐性検査 薬剤耐性に関与する遺伝子と迅速診断への応用の可能性" 臨床と微生物. 25・6. 795-801 (1998)