1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770297
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
黒崎 久仁彦 千葉大学, 医学部, 講師 (60240701)
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Keywords | STR / PCR / ポリアクリルアミドゲル電気泳動 / 塩基組成 / 電気泳動度 / DNA多型 / CYP19 / 突然変異 |
Research Abstract |
1、DNA塩基組成とポリアクリルアミド変性ゲル電気泳動における易動度との関係についての検討 STR多型の型判定に影響する因子としてDNAの塩基組成と電気泳動の易動度との関係に着目し、これに関する傾向分析を行った。特に最近の主流である自動式シークエンサーで用いられているポリアクリルアミド変性ゲルについて検討した。具体的にはSTR13座位のアリルの各塩基配列を決定しその塩基組成比(A、C、G、T含有率)を算出した後、二本鎖である各アリルの相補鎖をポリアクリルアミド変性ゲルにて個別に泳動し、その相補鎖間に生じる易動度の差をM13ラダーでの塩基数に置換、さらにこの易動度の差の大きさと個々の塩基含有率の組み合わせとの間の相関の有無について検討した。その結果、一本鎖DNAにおけるA+C含有率とG+T含有率の均衡が保たれているほど、相補鎖間の易動度の差は小さくなることが明らかになった。これにより、STR多型の型判定の際は各アリルの大きさだけでなくその塩基組成の違いについても考慮する必要性が示唆された。 2、STR近傍領域における変異が型判定に及ぼす影響についての検討 CYP19座位のSTR検出において、一方のPCRプライマーの位置を上流に移動させることにより新しいアリルが検出された。このアリルについて塩基配列を決定したところ、STRの上流に3塩基の欠失があることが判明した。この欠失はSTRの繰り返し数7回のものにのみ特異的であり、従ってPCRプライマーの位置の移動により1つのアリルが2つに分離する結果となった。これにより、STR多型の型判定の際、STR近傍領域における変異の有無の評価とこれを踏まえたプライマー位置設定が必要であることが示唆された。
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[Publications] Kurosaki,K., Saito,H., Oota,H., Watanabe,Y., Kiuchi,M., Ueda,S.: "Combined polymorphism associated with to 3-bp deletion in the 5'-flanking region of a tetrameric short tandem repeat at the CYP19 Locus." Japanese Journal of Legal Medicine. 51(3). 191-195 (1997)
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[Publications] Saito,H., Ueda,S., Kurosaki,K., Kiuchi,M.: "The different mobility of complementary strands depends on the proportiow AC/GT." Forensic Science International. 91(印刷中). (1998)