1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルコールに対する生体反応タンパク質の解析と代謝過程の関係
Project/Area Number |
09770299
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 博志 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60263092)
|
Keywords | アルコール / 代謝 / 核転写因子 / チトクローム P450 2E1 / NF-κB |
Research Abstract |
エタノールの急性摂取時の生体反応タンパクの解析にあたり、本年度は転写制御因子タンパクであるNF-κB系に着目した。Wistar系雄ラットを用いた潅流肝を作成し、潅流安定後にKHS潅流液にethanol(10mM,50mM,100mM),50mM ethanol+diallyl sulfide(DAS),CCl_4をそれぞれ付加した。潅流肝から細胞可容画分を分画し、SDS-PAGEにて分離した後、Western blottingにてPVDF膜にタンパクを転写した。その膜上に1次抗体として抗NF-κBp65抗体または抗IκBα抗体を付加し、化学発光法にて1次抗体と結合したタンパクを検出した。その結果、潅流20分以降control群においてNF-κBp65とIκBαが検出され、これらのタンパクの存在が確認された。Ethanol群においてNF-κBp65は潅流20分後から検出可能になり、濃度依存性に経時的に増加する傾向が認められたが、IκBαは潅流20分ではいずれの潅流濃度においても認められず、潅流60分では100mM ethanol潅流群において高濃度検出された。CCl_4の潅流ではいずれのタンパクも検出されなかった。また、DASの付加では潅流早期より両タンパクが検出された。以上より、潅流肝においては、通常比較的早期から、細胞可容画分のNF-κBp65およびIκBαが存在すること。Ethnaolの付加によりこれらのタンパクが減少することが判明した。このタンパク量の減少はNF-κBp65の核への移動とIκBαの分解が生じたことを示し、さらに高濃度のethanol潅流では核にはいったNF-κBがDNAと結合しIκBαが誘導されることが示唆された。DASの付加によってこれらの現象が減じたことから、代謝を介したメカニズムの関与が判明し、redoxの変化あるいはacetaldehydeやradicalsの産生等が寄与していることが考えられる。現在これらについて検討中である。
|