1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝硬変・肝癌での類洞壁細胞のSAM合成酵素の発現変動とGTP結合蛋白質のメチル化
Project/Area Number |
09770348
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
斉藤 佳子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教務職員 (50178969)
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Keywords | 星細胞 / 再生肝 / GTP結合蛋白質 / S-アデノシルメチオン合成酵素 / メチル化 |
Research Abstract |
S-アデノシルメチオニン(SAM)合成酵素(メチオニン・アデノシル転移酵素:MAT)には2種のアイソザイム(肝臓型と非肝臓型)が存在するが、肝臓を構成する細胞ごとに、このアイソザイム発現が異なることを明らかにし、肝臓にあって非肝臓型のみを発現している星細胞(伊東細胞)に着目した。星細胞は、ビタミンAの貯蔵や細胞外マトリックス産生など多機能を有しているが、それらの機能と本酵素の発現の関連を調べる目的で、今回はラットの再生肝を用いて検討した。今年度の研究によって得られた新たな知見は以下の如くである。 1.部分肝切除後の各日後、灌流法によって分離した星細胞について、非肝臓型MATの発現を調べた。0日に比べて1日目以降発現量は多く、中でも1、2日目と、6日目の2つのピークが示された。 2.MATにより生成されるSAMに注目して、SAMを用いてメチル化される蛋白質を調べたところ、GTPγS依存的にメチル化される低分子量(21-23kDa)GTP結合蛋白質が検出された。 (1)Rasは、肝切除後、4〜6日に一過性にメチル化が増加していた。 (2)Cdc42は、0日でもメチル化は検出されるが、4〜11日目で強く、17日目で少し減少してきた。 3.灌流1時間前に腹腔内に投与したBrdUを、分離した星細胞についてELISAで調べたところ、DNA合成は3日目に大きなピークを持っていた。 現在、分離した星細胞から全RNAを分離して、RT-PCRによって、各種細胞外マトリックスや、細胞形態に関連する分子の発現について検討中であるが、これらの発現と星細胞の増殖、形態や機能と、関連するG蛋白質の関与するシグナル伝達について究明していく予定である。
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