1998 Fiscal Year Annual Research Report
ペプシノーゲンCの増殖促進因子としての分子生物学的検討
Project/Area Number |
09770357
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸 清彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (20273774)
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Keywords | ペプシノーゲン / 増殖促進因子 / 消化管上皮細胞 / 胃 |
Research Abstract |
我々はへリコバクター感染により誘導される胃の増殖促進因子を同定し、胃癌発症との関係を解明しようと考え実験を進めてきたが、その中で潰瘍治癒過程において過剰に発現している増殖因子活性のひとつがペプシノーゲン(PG)Cである可能性を見出した。そこでPGCに注目し、その全く新しい生理活性としての増殖促進活性を解析するとともに、増殖促進機序を明らかにすることを目的として実験を行った。SDラットの腺胃からAGPC法にてRNAを調整し、RT-PCR法にてPGC遺伝子全長をクローニングした。昨年度の実験で得られたPGC遺伝子はエクソン8および9であった。そこでこれらをpSVneo/SRα mycに組み込んだ。これによりSRαプロモーターの制御下にc-mycエピトープとの融合蛋白として発現させることができる。またこのベクターはネオマイシン(G418)耐性遺伝子をコードしている。そしてRGM-1細胞へ遺伝子を導入し、増殖促進活性を検討した。RGM-1は上皮細胞であるので、より効率のよいリポフェクション法によりプラズミドの導入を行った。ネオマイシン(G418)にて選択し、クローン化した。そうして得られた細胞で増殖活性をBrDuの取り込みによって検討したところ、親株に比して有意な増殖活性の上昇は認められなかった。しかし、同じプラズミドをcos細胞に導入して得た培養上清は、ベクターのみのコントロールに比してBrDuの取り込みを有意に増加させた。そこでPCR産物をpGEX-2TKに組み込み、GST(GIutathione S-transferase)との融合蛋白として大腸菌で発現させ、リコンビナント蛋白を得た。それをRGM-1細胞へ投与したところ、コントロールに比べて容量依存性に増殖を促進した。また抗体を作製し、ラットに投与し血中ガストリン値とpas染色にて粘液分泌を観てみたがいずれもコントロールに比べて差はなかった。今後胃癌やへリコバクター感染胃生検組織を免疫染色しPGCの蛋白レベルでの発現の差や局在を調べる予定である。
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[Publications] K.Kishi: "Pepsinogen C gene product is a possible growth factor during gastric macosal healing" Biochem.Biophys.Res.Commun.238・1. 17-20 (1997)
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[Publications] K.Kishi: "Compafison of the signal transduction pathways activation by gastrin in enterochromaffin-like and parietal cells." Gastroenterology.115・1. 93-100 (1998)
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[Publications] K.Kishi: "Augmcntation of water-inmersion-stress induced gastric muiosal lesion in BALB/c mice infected with Helicobacter felis" Digestion. 60. 34-40 (1999)