1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎ウイルス関連肝発癌における癌抑制遺伝子変異とテロメラーゼ活性との関連
Project/Area Number |
09770358
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岸本 洋輔 鳥取大学, 医学部, 助手 (10273905)
|
Keywords | 肝細胞癌 / p53 / テロメア |
Research Abstract |
近年、癌の発生、進展について重要視されている癌抑制遺伝子とテロメラーゼの関連についてはいくつかの報告があり、1995年Hiyamaらは原発性肺癌においてテロメア長の有意な変化を示した症例はRB遺伝子およびp53遺伝子のヘテロ接合性の消失と有意に相関すると報告している。これらのことは細胞が遺伝子変異の蓄積に伴う選択増殖を繰り返した結果、テロメア長の究極的な短縮をきたしテロメラーゼ活性を獲得した細胞が不死化したのではないかと推測させる。しかし一方、Klingelhutzらはヒトのパピローマウイルスを用いた実験でテロメラーゼの活性化とp53は無関係であると報告している。そこで我々はまず肝細胞癌(HCC)のテロメア長(terminal restriction fragment:TRF)とp53mutの有無との関係を調べた。手術で得られたHCC患者15例の癌部より抽出した高分子DNAを用いてテロメア長を求めると共にPCR-SSCP法を用いてp53mutの有無をexon5-9について検討した。p53mutが検出された4例のTRFは4.5±1.0kb、検出されなかった11例のTRFは4.7±1.1kbで両群に差はなかった。TRFの短いものにp53mutが多ければp53mutで増殖性が増した細胞でテロメアが短縮し、その後テロメラーゼ活性を獲得して不死化するという考えが成り立つと思われたが、HCCにおいては現在までの検討ではテロメア長とp53mutとの関連は見られなかった。平成10年度はさらに検討する症例数を増やし、PCR-SSCP法で見つかったp53mutの種類を直接塩基配列決定法で確認すると共に、非癌部でも同様の検討を行い、平成9年度の結果と合わせてp53mutとテロメアの関連についてまとめる予定である。
|